分析センターだより
放射能測定機器 カンパで充実
大震災をはさんで、農民連食品分析センターも以前とはだいぶ様子が変わりました。あれからもう2年になるのですね。
まずは、やはり放射能です。東北の農業王国で起こった事故ですから。なんとかして対応しなければいけないのに、当時は様々な事情から業務の立ち上げは大変でした。
たとえば、欲しくても測定機器そのものが手に入らなかったり、放射能関連の機器を作っているメーカーがとても少なく、出荷は国の施設に優先的に回しているので、たとえ注文しても搬入に半年はかかったりと、そういう状況だったのです。
なかでも、最も高精度でその分値段も高い、ゲルマニウム半導体検出器に至っては当初は全く導入のめどが立ちませんでした。多くの方に手助けしてもらってようやく待望のゲルマニウム検出器が入ってきたのは、事故から約1年後のことでした。導入資金をカンパしていただいたことも含めて、本当にたくさんの方々のご厚意と助力に支えてもらって成し遂げられたことです。
今では、アロカ社のNaI(Tl)シンチレーションサーベイメーター、同じくアロカ社のスペクトルメーター、キャンベラ社のインスペクター1000、それにゲルマニウム検出器と、4台もの機械があります。おかげさまで見違えるように充実した体制で検査依頼を受けることができます。
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ゲルマニウム半導体検出器 |
職員も一人増えました。なにせ放射能の仕事を新たに立ち上げた訳ですし、お米や野菜の検査をしてほしいという依頼も大量に来始めていました。
震災から原発事故と続いた、農業にとっても大変な苦しい時期を経て、うちのセンターでも、それまで柱としてやってきた仕事、つまり残留農薬や重金属、遺伝子組み換えなどの分析依頼が落ち込みました。それもこのごろになってやっと復活し始めています。それでも震災前と比べると少ないのですが、復興はまだまだこれからなのだなと日々肌で感じています。
今後も分析センターを、食の安全を守る砦(とりで)として機能させるべく頑張って働きますので、検査依頼をよろしくお願いします。農民連の運動の重要な一環としての自覚を持って、分析という業務をこれからも勤めて行くつもりです。
(泉)
(新聞「農民」2013.3.11付)
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