全国小水力発電サミット
自然エネルギーを地域自治の力に
小水力発電の普及に向けて情報を共有し、課題を考えようと、2月16、17の両日、全国小水力発電サミットが岐阜県の中津市と恵那市で開催されました。小水力発電に取り組む市民や自治体関係者、発電機メーカーなど、全国から約850人が集いました。
今回のサミットは「清流とともに暮らす――自然エネルギーによる地域自治を目指して」がテーマ。小水力だけでなく、木質バイオマスなどの自然エネルギー・自然資源を活用しつつ、どのように地域を活性化するかという視点で、熱い議論が交わされました。
NPO法人地域再生機構副理事長の平野彰秀さんは、人口270人の小さな農山村、岐阜県郡上市石徹白(いとしろ)集落での取り組みを報告。地域の人々の過疎化や高齢化、少子化への危機感が、「“地域を残す”ために小水力発電や自然エネルギー活用に取り組もう」という模索へとつながったこと、水車の設置をきっかけとして、休眠状態だった農産物加工所の稼働や、農産カフェの開店に発展していることを紹介しました。
平野さんは、「小水力発電して終わりではなく、収益を何に使って、どういう地域にしたいかが重要」と強調しました。
※小水力発電とは
ダムなどの大規模施設を使わない小出力の発電のこと。川の流れや落差を利用するため、環境に負荷をかけず昼夜・年間を通して安定した発電ができる。短所は、水利権の調整や手続きが煩雑であること、規模や方法によっては初期投資が割高になること、など。
U字溝でもOK!
小型発電機 ピコピカ
同サミットの企業展に、きわめて小型の水力発電機が出品されていました。ピコ水力発電と呼ばれるもので、取り外しや持ち運びも可能です。
その一つ、有限会社角野製作所が開発した「ピコピカ」は、長さ108センチ、幅28センチ、高さ38センチで、重さは18・5キロ。水車の羽根がらせん状になっているらせん式水車で、農業用水のU字溝などに置くだけで発電することができます。
電力量は2〜10ワット程度。電力会社から送電線を通じて一般家庭に配電される電気容量は、ふつう3キロワット程度(3人家族くらい。家庭ごとに違います)ですので、家庭需要をすべてまかなうことはできませんが、街灯や獣害防止の電気柵などには利用できます。また組み立てがとても簡単なため、小中学校の環境教育の教材としての普及がすすんでいます。
角野製作所社長の角野秀哉さんは、「普段なにげなく目にしている水の流れが、エネルギーになるという感動を知ってもらいたい。ピコピカが水力発電の仕組みを体感できる入り口になれば」と、開発にかける思いを話しています。
らせん式ピコ水力発電装置ピコピカ
▼組み立てキット LEDライト付き
▼価格 1セット8万2500円+税(送料別)
▼販売窓口 NPO法人「地球の未来」TEL 0573(28)2968 住所 岐阜県恵那市三郷町野井133の32
(新聞「農民」2013.3.11付)
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