「農民」記事データベース20130225-1058-08

旬の味


 寒さは寄せては返すを繰り返しながら、徐々に春へと向かっている。この時期の天気は変わりやすく、テレビの天気予報から目が離せない▼わが家ではいつも長野県版の予報を見る。広い長野県をひとくくりにする全国版の天気予報は当てにならないからだ。テレビはまだまだ東京を中心に回っている。きっと、東京からでは下伊那の天気は南アルプスに隠れて見えないのだろう、と父は言う▼1月末、私の参加する地元青年農業者の会が30周年を迎え、記念のパーティーが開かれた。会員である私も、この会が30年も続いているとは思わなかった。つい数年前にできたかのような活気に満ちている。偶然にもその席で、私の住む町に青年農業者の会ができると聞いた。高齢化が進み、専業農家がひとけたしかいなかった町に、青年農業者の会ができる▼若い世代が農業者として田舎に戻りつつあるのだ。それは就職難だからでも他に選択肢がないからでもなく、ここに東京からは見えない未来があるからだと、私は思う。

(よ)

(新聞「農民」2013.2.25付)
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2013年2月

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