「農民」記事データベース20130218-1057-08

旬の味


 暦の上では春だが、当地方はまだ真冬だ。4回に及ぶ屋根の雪下ろしで、わが家はふさがれ、まるで“かまくら”の中にいるようだ▼この時期、五穀豊穣(ほうじょう)を願う伝統行事が各地で行われる。北秋田市鷹巣の「雪中稲刈り」はなかなか興味深い。水稲に見立てたわらと豆殻を束にして、雪の中に植え、約1カ月後、この稲の倒れ具合で今年の米の作柄を占う▼先日、すげがさとみのを着け、古式豊かに、鎌で一株ごとに刈り取った。稲16束のうち、適度に傾いているもの6束、傾きがやや過ぎるもの2束、しなりが足りないもの3束、直立や雪の重みで折れ、不稔(ふねん)を示すもの5束だった▼作占いから「今年は平年作以上、やや良」というご神託が告げられた。そして「害虫防除や草刈りなど要所を押さえ、手間を惜しまなければ、占い以上の豊作となり、収量も上がる」とお見立て役から話され、米作りの意気込みを誓い合った▼途絶えていた民俗行事だが、一農民の執念で復活して30年になる。いつまでも続けてほしいと願う。

(長)

(新聞「農民」2013.2.18付)
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2013年2月

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