伝統ある味忘れないでね
学校給食に七草汁
東京・杉並区の大宮小学校
セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、これぞ春の七草――。七草は、昔から正月に食べられてきたビタミン、ミネラルが豊富な伝統食で、いまでは、1月7日に七草がゆを食べ、正月料理で疲れた胃を癒します。東京都杉並区の区立大宮小学校で8日、児童たちが給食で七草汁を味わいました。
みんなでワイワイ楽しく食べたョ
大宮小1年生のクラス。お昼は待ちに待った給食の時間です。「いただきます」をする前に、担任の先生から「きのう七草がゆを食べた人」との問いかけに、約3分の1の児童が手をあげました。なかには「七草について調べてきました」という児童も。みんなでおしゃべりしながら、伝統の味を心ゆくまで楽しんでいました。
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七草汁を食べる大宮小学校1年生=1月8日 |
春の七草を使った献立を考えたのは、栄養職員の遠藤悠子先生。調理室の前には、七草がゆについての説明が掲示してあります。七草の写真をめくると、それぞれの作物の説明が書かれていました。
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調理室の前に掲示されている七草がゆの説明 |
ふるさとネット日販連
学校と産地の橋渡し
伝統食を食べる機会が少ない
遠藤先生は「給食は和食中心にしながら、行事食や全国の郷土料理を出したり、季節の野菜、果物を採り入れたり工夫することで、毎日何か感じることのあるものをつくっています。いま児童たちは、日本の伝統食を食べる機会が少なくなっています。みんなで食べた七草汁の味を楽しい記憶として残してもらいたい」と語ります。
愛媛・西条市農協「春の七草部会」
生産した七草
給食の七草は、愛媛県の西条市農業協同組合(JA西条)「春の七草部会」の農家のみなさん(15戸)が作ったもの。農民連ふるさとネットワークと日本販売農業協同組合連合会(日販連)が、学校と産地の橋渡しをしました。
西条の春の七草づくりは30年を超える歴史をもち、今では約100万パックを全国に出荷する日本一の産地です。西日本一高い石鎚(いしづち)山(1982メートル)からの地下水「うちぬき」を利用し、きれいで豊富な水と、寒暖の差が小さい恵まれた気候のなかで栽培されています。農家は、農薬をできるだけ減らし、安全で安心な栽培を心がけています。
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JA西条春の七草部会のみなさん。私たちが七草をつくっています |
西条市農協営農振興課の阿蘇一弘さんは言います。「学校給食など、子どものころから伝統食にふれて、おとなになってからもこの味を忘れないでください。みなさんにおいしく食べてもらおうと、農家のみなさんも一生懸命に作り、昔からの伝統を守ることができます」。産地からの熱いメッセージです。
(新聞「農民」2013.1.21付)
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