本の紹介
京都府保険医協会編
TPPは国民医療を破壊する
TPPの医療への影響を論じた
初のブックレット
本書は、韓国の視察をもとに、TPPが国民医療に及ぼす影響を論じた初のブックレットです。
日本と韓国はともに国民皆保の国で、医療制度はきわめてよく似ているといわれています。そこで京都府保険医協会は、昨年3月に発効した韓米FTAから見えてくるTPPの問題点を探るために、韓国へ医療視察を行いました。
本書では、日本と韓国の医療制度を比較し、「構造改革(=新自由主義的な改革)」によって危機に直面している現状を紹介しています。そして、韓国の医療現場と医療の自由化について、仁川(インチョン)経済自由特区にあるINHA(イナ)大学病院やソウルにあるグリーン病院で、医療の世界に経済優先の思想を持ち込むとどうなるのかなど聞き取り調査を実施しました。
社会的弱者の救済を目的に設立されたグリーン病院では、理事長など医療スタッフと懇談し、韓国側からジェネリック医薬品の販売停止や、薬価決定の民営化による薬価の高騰によって、患者負担増・医療費増大などの懸念が出されました。
そして、韓国の医師たちから「韓国は、韓米FTAというたいへんな選択をした。このままいけば、日本も同様の苦しみを味わうことになるだろう。いっしょにたたかおう」とのメッセージを受け取りました。
また本書には、資料として、韓国「保健医療団体連合」政策室長のウ・ソッギュンさんの「韓米FTAは国民の健康に対する災い」などの論文が添えられています。
本書は、韓国の医療現場を支える人たちとの連帯の本でもあります。
▼定価 1000円+税
▼かもがわ出版 TEL 075(432)2868
(新聞「農民」2013.1.21付)
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