安倍新政権 前のめりTPP反対財界が“早急に交渉入りを”と圧力
「安倍新内閣はTPPに前のめり」――総選挙で「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対」と国民に公約した自民党は、公明党との連立政権合意文書で「自由貿易をこれまで以上に推進する。TPPについては、国益にかなう最善の道を求める」ことを掲げ、公約裏切りへの第一歩を踏み出しました。経団連の米倉弘昌会長は「早急に交渉入りを」と矢継ぎ早の催促です。国益の「益」とはまさに大企業の「益」。近く予想される日米首脳会談を前にTPPをめぐって緊迫した情勢が続いています。
反対掲げた議員への監視強めよう
農民連も加わる「STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会」は1月8日、今年最初で自民党・安倍政権の発足後初の行動に取り組み、TPPへの態度を記した、最新の国会議員リストが掲示されるもとで、150人を超える参加者が集いました。参加者には温かいお汁粉も振る舞われ、寒さのなかでも熱気に包まれました。 |
「TPP参加は絶対反対!」とコールする参加者 |
はじめに、呼びかけ人の一人、アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子さんが「官邸の新住人、安倍首相に向かって、今年も元気よく、激しく、参加反対を突きつけましょう」と呼びかけました。
毎回参加している日本共産党の紙智子参院議員があいさつ。「TPPへの参加反対を公約して当選した議員に、公約を守らせる取り組みが必要です。監視を強めて、推進勢力を追い詰めよう」と述べました。
主催者による「徹底分析! 総選挙」のコーナーでは、「議席だけみると、自民党が圧勝したようにみえるが、これは小選挙区制によるもので、前回よりも得票を減らしている。自民、公明両党の政権合意では、自由貿易をこれまで以上に推進することがうたわれており、参院選で、TPPに反対する党への投票を呼びかけましょう」との訴えがありました。
各分野からTPP参加反対への熱い思いが語られました。日本消費者連盟の山浦康明事務局長は、アメリカ産牛肉の輸入月齢制限が緩和されようとしている点を批判し、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の西分千秋さんが、組み換え食品の表示見直しが迫られる危険性を指摘しました。
農民連の齋藤敏之常任委員は「総選挙で、JAの会員は、反対議員を当選させるために懸命に動いた。反対を掲げて当選した議員への監視運動を強めよう」と訴えました。
東京農民連の武藤昭夫さんは「東京でも、多くの国会議員が参加反対を主張して当選した。都市農業を守る立場で、参加反対を働きかけていきたい」と述べました。
次回は、2月5日(火)午後6時から行われる予定です。
なお、新しく当選した全衆院議員のTPP賛成・反対リストは、官邸前アクションのホームページ(http://tpp.jimdo.com/)に掲載されています。
道行く人のTPPへの関心は非常に高く、署名板の前には常に人が足を止めて、TPPのみならず政治や生活について熱く語りこむ姿があちこちで見られました。
署名に応じた20代の若者は、「祖父が米農家で、TPP参加は日本の農業をつぶしてしまうと反対しているので」と話しました。また50代の男性は、「TPPも大事な問題だけど、オレは最低賃金を全国平等にして、もっと引き上げろと言いたい。国は年収が200万円にも満たない人がいっぱいいることをもっと真剣に考えて、経済の底上げをしないとダメだよ!」と熱弁。TPP参加で貧困格差がもっと拡大する懸念があることを話すと、「TPPで日本は良くならないね。がんばってよ」と、激励しながら署名に応じました。
近くの喫煙コーナーで一服していた男性も、宣伝カーからの訴えを聞いて、署名に協力。「総選挙の時もTPPの情報には注目してたんだよ。TPPに参加したら、農業も林業も商業も他の産業もみんなダメになって、大企業だけが生き残る。そんなの反対だね」と、話していました。
宣伝カーからは、農民連の吉川利明事務局次長が、「東日本大震災の時、スーパーの棚からお米や食糧が消えました。TPP参加で9割近くを外国に頼るようになったら、大災害の時、国民の食糧はどうなるのでしょうか。農業を守ることは、国民の命と健康を守ることでもあります。TPP参加は農も食も命も壊すものです」と力強く訴えました。
農民連女性部第24回総会 |
◇2月12日(火)午後1時〜13日(水)正午 ◇ホテル「ウェルシティ湯河原」(静岡県熱海市泉107) ◇参加費 1万1500円 申し込み=農民連本部女性部 |
休刊のお知らせ |
次号(1月28日付)は、大会期間中のため、休刊とさせていただきます。 新聞「農民」編集部 |
[2013年1月]
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