「農民」記事データベース20130107-1052-04

“おらほ”の郷土おせち

石川農民連 西 肇(とし)子さん


かぶらずし

 寒さが増すと、1年で一番おいしい季節になります。蟹(かに)に牡蠣(かき)に鱈(たら)に鰤(ぶり)…と、いろいろあります。

 昨年11月6日、私の大好きな香箱蟹(こうばこがに、ズワイ蟹のメス)が解禁になりました。香箱は小さな蟹ですが、みその赤い内子(うちこ)や身を全部抜き出して、ゆずを搾ってちょっとしょう油をたらすと絶品で、一番好きな食べ方です。

 この解禁のころから雷が鳴るごとに脂がのってうまくなるのが鰤(ぶり)です。いまでも結婚して1年目の年の暮れに、嫁さんの実家に贈る風習があるんですよ。

 わが家では、天然鰤を1本買い、かぶらずし用に皮付きのまま3枚におろしてもらいます。まずは、一番脂ののったトロを刺身にして、アラは鰤大根ですべておいしくいただきます。次に、残した鰤の身にたっぷりの塩をまぶして塩漬けにします。最低でも2週間漬け置くと、生臭さが消えて固くしまります。それを薄くそぎ切りして、塩漬けしたかぶらにはさんで、麹(こうじ)床に漬けて重しをして4日ほどたつと、鰤からの塩分を甘い麹で抜きながら食べごろになっていきます。

 毎年、正月をメーンに40個ほどを3度漬けますが、そのときの気温によって出来もいろいろです。雪が降って寒くなると、かぶらずしを桶(おけ)から取り出すのは冷たい。でも、それが一番おいしいころなのでしょうね。


レシピ

〈材料〉
 かぶら3.6キロ、塩144グラム、塩漬け鰤(辛口)1.3キロ、にんじん1本、こんぶ20センチ、とうがらし4本、ゆずの皮1個分、酢大さじ3杯、米麹(こうじ)2枚(1680グラム)、熱湯1200cc

〈作り方〉
(1) かぶらはよく洗い、へたを切り落とす。あいだに切り込みを入れて3センチほどの輪切りに。
(2) 容器に塩をふりながら(1)を並べて4日ほど漬ける。
(3) かぶらずしの本漬けの前日に、米麹を2枚使って甘酒を作り麹床にして、さましておく。
(4) ここから本漬け。鰤は薄くそぎ切りにして、かぶらの枚数だけ切る。
(5) (4)に酢をふりかけ、さっと揉(も)む。
(6) にんじん、こんぶは3センチの千切りに。とうがらしは種を除いて小口切り、ゆずも千切り。
(7) (2)のかぶらをざるにあけ、ひとつずつ水気をふき取る。
(8) かぶらの切り目に(5)の鰤をはさみながら桶に並べる。
(9) かぶらを一段並べたら、(3)の麹床を平らに入れる。
(10) にんじん、こんぶ、とうがらし、ゆずを散らして入れる。
(11) (8)〜(10)を繰り返し、最後に残った麹床やにんじんなどを全部入れて、おとしぶたをして重しにし、4日目ほどから食べ始めます。

(新聞「農民」2013.1.7付)
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2013年1月

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