集まれば元気が出る広場
安全な食を守る直売所
「野馬土(のまど)」
福島復興の拠点に
相馬にオープン
浜通りの農民連と農産物供給センター
「言いたいことはいっぱいある。しかし、私たちはここで生きていかなければならない。そのために、多くの方々の協力で『野馬土(のまど)』というみんなが集まって元気の出せる場所をつくった。そして、ここから“フクシマのいま”を発信していく。末永く発展するよう、いっそうのご支援を」(野馬土の代表理事、杉和昌さん)―東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で大きな被害を受けている福島県浜通り地方。ここに、浜通り農民連と浜通り農産物供給センターが中心となって、復興の拠点となるNPO法人「野馬土」を立ち上げ、12月22日、相馬市の国道6号沿いに完成した農産物直売所と交流施設(コミュニティ・カフェ)がオープン。雨の中でしたが、たくさんの組合員や市民が駆けつけ、お祝いしました。
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あいかわ社中のみなさんによる民族舞踊「大黒舞」―南相馬市小高地区で10年以上同好会として活動していましたが、震災でばらばらに。今年から仮設の集会所などで活動を再開 |
放射能検査室も備える直売所
直売所には、地元をはじめ、全国から届けられた野菜や加工品、岩手・田老町のワカメや冷凍サンマも「漁民と心はひとつ」の言葉を添えて陳列されました。放射能検査室も備える直売所の店長、亀田俊英さんは「ここは、自分たちで計測した新鮮な地元野菜と、農民連ふるさとネットワークの支援を受けた全国のおいしい農産物の直売所です。安心・安全な農産物をぜひ食べてください」と呼びかけます。また、浜通り農民連の各支部も、豚汁やあんこ餅、おこわ、がんづき、イカ焼きなどを作り、「がんばろうね」と参加者をもてなしました。
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「ヨイショ!」「オイサ!」―元気な掛け声が寒さを吹き飛ばします |
開店してくれて私たちに勇気を
横浜市から「生産者と消費者が手をつなぐ会」のみなさんもお祝いに駆けつけました。「1年9カ月もたつのに、原発から20キロ圏内の地域はあの日のままです。本当に悔しい。みなさんが野馬土をオープンしてくれて、私たちの方が勇気づけられています」とあったか豚汁と野菜を手に交流していました。
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地元の野菜や加工品、そして全国の仲間の支援があふれる直売所 |
再生可能エネをここから作ろう
また、「原発ゼロに向け、この地から再生可能エネルギーを作り出そう」と、直売所や米倉庫の屋根には太陽光パネルを設置。およそ40キロワットの発電を計画しています。そして、今後は国の補助事業も活用して、農家の屋根や空き地などにも太陽光パネルを地域で普及していく計画です。野馬土の代表理事の一人、三浦広志さんは「こうした取り組みができるのも、農民連がこれまで精力的に国や東電本社と交渉してきたから。このことを忘れてはいけない」と話しました。
フクシマの声を日本・世界に発信
「野馬土」建設にあたって、資金援助してきたのがフランス財団。その橋渡しをしてきた雨宮裕子さん(フランス・レンヌ第二大学准教授)は、この日のためにフランスからお祝いのシャンパンを持って駆けつけました。そして「オープンできて本当にうれしい。この施設を直売所だけにしてほしくない。ぜひここから、市民の声で今のフクシマを日本中に、世界中に発信してほしい。この現実を忘れないために、そしてみんなで復興していくために」と、期待をこめました。
住所 相馬市石上字南白髭320
TEL 0244(26)8437
(新聞「農民」2013.1.7付)
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