投 稿
映画「モンサントの不自然な
食べもの」を見て
千葉の一農民から
GMは世代をまたぐ重大問題起こすのでは
農業の世界的コントロール狙うモンサント
わが家では、口にするものはできるだけ国産にこだわり、特に遺伝子組み換え(GM)に関しては決して手を出さないようにしてきた。この映画を見て、あまりのショックにわが抵抗は実にはかないものであったことを知らされてしまった。
今まで、遺伝子組み換えを漠然と理解していたが、ここで言うGMとは、細菌類の遺伝子を植物細胞に組み込んで、自然界ではあり得ない機能を作物に持たせる技術と言える。これすなわち、“種”の壁を越えたまったく別の種類の生物の特性を新たに付加させることのようである。
あまりに頼りない審査機関の承認形式
2011年で世界の大豆の75%、トウモロコシの32%がGMで、わが国の主な輸入国アメリカ、カナダでは二つの作物の90%近くがそうなのだから自分の口に入っていないわけがないのである。百歩譲って、今後ますます厳しくなる世界の食糧事情を考えれば、あながち悪いことばかりではないことも理解する。
しかし、安全面での検査や審査があまりにも頼りない。モンサントのような企業が提出するデータを各国の審査機関がうのみにする承認形式は、アメリカ(FDA=アメリカ食品医薬品局)のみならずわが国(厚労省食品衛生局)、その他先進諸国でも変わりないようである。
除草剤をバンバン振りまいても枯れない大豆や、チョウを殺してしまう殺虫トウモロコシ、GM大腸菌に作らせた牛の成長ホルモン(半分の期間で出荷可)―これらの安全性をあまりにも短期間で決めてしまおうとする審査機関の姿勢には不気味さを感じる。目先の影響はなくとも、世代間にわたって重大な問題を引き起こす懸念はないのだろうか。事実、ラットを用いた試験では、発育不全や免疫低下の報告も見られるのだが。その他にも、GM種と在来種の交雑から取り返しのつかない環境問題なども言われている。
遠からず日本でも自家採種で罰金刑?
モンサントの世界戦略は、GM化で農作物の種すべてを自社のモノでしか作れないシステムの構築とみられている。加えて、除草剤をはじめとする化学農薬をセットにして、地球上の農業をわが手でコントロールしようとたくらんでいるともいわれている。そこまでいけば、世界戦略上この上ない武器(手段)を手に入れることになり、あとは彼らの思いのままの利益を獲得することであろう。映画の中でも、GM作物から種を自家採取すると罰金を科せられる契約があることがとりあげられているが、遠からず日本でも目にする日が来るのかもしれない。
最後に、わが国の食品表示義務でも、加工品にあっては原材料の上位3番目までで、かつ全重量の5%(水分を除いた)を超えていなければ遺伝子組み換えの表示はしなくて良いとなっているのにはあ然とさせられる。
(新聞「農民」2012.12.24付)
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