この人
供給センター長崎代表理事
太田 透さん(62)
思い伝わる産直に取り組みたい
雲仙普賢岳が噴火してできた平成新山を望む島原半島南端の温暖な地形の中で、根っからの農民として育ちました。山間部に築き上げられた狭い農地で水稲と根菜の栽培を行っていました。
現在は夫婦で、長崎県南島原市に住んでいます。趣味は魚釣りですが、現在は仕事で休み状態です。
水稲の減反政策が始まったころから山間部では荒れ地が見え始めました。わが家の経営を保つために、借地をして栽培を拡大し、目標に向かっているなかで、友人からの誘いで農民連に迷いなく加入しました。
その数年後、生産量と組合員の拡大で、産直組織の法人化が計画されました。集・出荷場を兼ねる事務所建設の土地確保に役員さんたちが奔走され、確保ができたころ、荒木弘光会長から「専従の事務局員がどうしても必要なのでぜひ」と誘いがあり、それから19年がたちました。
7月の大洪水の被害に遭われた大分・下郷農協の、1日でも早い復興を願っています。日本販売農業協同組合連合会(日販連)の中塚敏春専務から応援依頼を受けたとき、すぐに役員会を招集し、作業道具を準備し駆けつけました。二度も同じような被害が発生したことには大きな衝撃を受けました。
代表理事になってから約10カ月がたち、生産者の気持ちをくむ活動の繰り返しです。異常天候による栽培環境の変化にその都度対応しながら、農家と苦労を共にするのが自分の仕事だと思っています。
生産者が栽培した農産物を全量販売できたときの生産者の喜びの声、栽培意欲の向上、消費者からの励ましのお手紙が喜びです。
次世代の若い活力ある、農業の大切さを願う多くの会員のためにも、日本の農業、地域を守り続ける環境を整えておかなければなりません。農家のこだわりや栽培への思い、取り組みを素直に伝えることが大切です。
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供給センター長崎など主催の収穫祭(11月23日)でもちつきをする子どもたち |
おいしい農産物を毎日、食卓でいただけるありがたさ。消費者が求める農産物。顔が見え、思いがじかに伝わる産直に責任をもって取り組み、農業経営が安定する運動をこれからも続けていきたいと思っています。
(新聞「農民」2012.12.24付)
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