LMO(生命操作生物)取り扱いなどで
基準づくりの検討決める
食農市民ネット
報告会で重要な進展と評価
MOP6
インド・ハイデラバードで10月1日から5日まで、遺伝子組み換え(GM)生物などを含む生命操作生物(LMO)が生物多様性に悪影響を及ぼす場合の防止措置などを定めたカルタヘナ議定書の国際会議(カルタヘナ議定書第6回締約国会合=MOP6=)が開かれました。日本からNGOの代表として、食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)が参加。同ネットは12月1日、都内で、MOP6の報告会を開きました。
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報告する(左から)天笠啓祐、関根、真下、纐纈の各氏 |
環境省から自然環境局の関根達郎さんが出席しカルタヘナ議定書の内容や、2010年のMOP5(名古屋市)で締結された生物多様性への損害やその補償、民事責任などを定めた名古屋・クアラルンプール補足議定書について説明しました。
また、補足議定書が発効するためには40カ国以上の承認が必要であるにもかかわらず、今年11月時点でまだ6カ国にすぎないことや、カルタヘナ議定書を国内で具体化したカルタヘナ法が、野生動植物や実験などには適用されるものの、農産物は対象外である点を指摘しました。
食農市民ネット運営委員で日本消費者連盟共同代表の真下俊樹さんは、MOP6の成果について、「MOP5のように議定書などの形になるものはなかったが、将来の重要問題でいくつかの進展はあった。とくにLMOの表示、取り扱い、包装、輸送の方法についての基準づくりを検討することが明記された」と述べました。
さらに、「これまでは、LMOがもたらす環境への影響や食の安全への評価は対象になってきたが、社会経済的影響は考慮外だった。しかしMOP6で、社会経済的影響に配慮することが問題になり、また、主に途上国の問題に取り組む専門家会議の設置が決まったことは重要な進展だ」と評価しました。
同ネットの纐纈(こうけつ)美千世さんは、インドで開いた市民ネット主催のサイドイベントについて報告。日本で輸入されたGMナタネがこぼれ落ちて自生している問題や、沖縄で未承認のGMパパイアが流通し、農家が被害を受けた事例を報告し、「地元紙で紹介されるなど大きな注目を浴びた」と述べました。
(新聞「農民」2012.12.24付)
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