「農民」記事データベース20121224-1051-02

総選挙の結果について

2012年12月17日
農民運動全国連合会会長 白石 淳一


 一、12月16日に投開票が行われた総選挙で、民主党は改選前の230議席から57議席へと大敗北し、3年3カ月続いた政権から退場することになった。自民党は118の改選議席を294議席に伸ばし、政権への復帰を確実にした。

 TPP交渉への参加反対、原発即時ゼロ、消費税増税の中止などを掲げてたたかった日本共産党は9議席から8議席に後退した。「第三極」を名乗る勢力は、日本維新の会が11議席から54議席に前進した。

 一、民主党の大敗北は、前回総選挙で掲げた公約を踏みにじり、消費税増税の強行、TPP参加の推進、原発依存政策、オスプレイの配備強行など、民意を無視した暴走政治に対する国民のきびしい審判の結果である。

 同時に、議席を大幅に伸ばした自民党は、安倍総裁自身が会見で「自民党に信任が戻ってきたというより、民主党政権の3年間の混乱に対する国民の『ノー』という声だ」と述べたように、決して国民が信頼を寄せた結果とはいえない。半数が死票となり、第1位の候補しか当選しない小選挙区制の影響が大きい。政権交代に追い込まれた前回総選挙の比例票は約1880万票であったが、今回は約1662万票に減らし、得票率では0・89%しか前進していない。比例で獲得した議席も前回の55に対し、今回は57議席で大差はない。

 一、TPP交渉に前のめりの民主党・野田政権にきびしい審判が下ったことは重要である。政権復帰する自民党は、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対、国民皆保険制度、食の安全・安心の基準を守る、国の主権を損なうようなISD条項は受け入れないなどの公約を掲げた。そして170人近い候補者が農政連(農協の政治組織)の推薦を受ける際の条件として「TPP交渉に反対する確約書」を交わした。今回の総選挙で示された民意は、TPP交渉参加反対にあることは明瞭である。しかし、アメリカと財界に支えられた新政権が公約をほごにしてTPP参加にカジを切る可能性が極めて高く、TPP参加反対のたたかいはますます重要である。

 一、危険な米軍普天間基地やオスプレイの配備強行、TPPなどの大もとにあるアメリカいいなり政治が鋭く問われた。また消費税増税や原発問題、行き詰まった日本経済を再生するために、大企業がもうかればいいという政治のあり方が問われた。憲法9条を変えて自衛隊を国防軍に改め、アメリカと一緒に戦争する国に踏み出す動きも大きな争点になった。

 これらの問題は、新しい内閣、国会で焦点になることが予想され、国民との矛盾を大きく広げることになる。

 農民連は、一致する要求で共同を広げ、農民の要求の通る政治、国民が主人公の政治を要求して奮闘するものである。そして、年明けに開催する第20回定期大会を成功させ、組織のさらなる前進と農業・農山村を再生するために全力を尽くすものである。

(新聞「農民」2012.12.24付)
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2012年12月

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