ニュージーランドで第15回拡大交渉会合TPP現地リポート
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TPPの第15回拡大交渉会合が、12月3日から12日までニュージーランド・オークランドで開かれました。今回から、カナダとメキシコも正式参加し11カ国で協議。全労連の布施恵輔国際部長が、現地で市民団体や労働組合などの集会に参加し、情報収集にあたりました。布施さんのリポートをお届けします。
11カ国の交渉団は総勢550人で、登録した利害関係者は約200組織・280人にものぼりました。今年5月のアメリカ・ダラスでの交渉同様、企業や業界関係者の登録が過半数でした。
交渉の全体像はまだ明らかになっていませんが、ISD条項(企業や投資家が不利益を理由に相手国を国際裁判所に訴えることができる)にオーストラリアが抵抗していることや、アメリカによる知的財産権の提案など、決着に向けていくつかの障害が明確になっています。近いうちに、事務局が首席交渉官レベルでの調整を行うのではないかというのが、大方の認識でした。首席交渉官レベルで決着しなければ、当然“政治決着”ということになります。
交渉は相変わらずの秘密主義で、会場のスカイシティー・コンベンションセンターへのアクセスは大変厳しく制限されていました。また、利害関係者のための便宜も不当に制限され、交渉団へのプレゼンテーションも1人15分で質疑はなし。国民の目を恐れ、秘密裏に交渉していることの不当性を多くの仲間が批判していました。
“密室談合するな!”とデモ行進する市民団体(オークランド=12月8日) |
この日の行動では、日本に何度も来日しているオークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんとアメリカ・パブリックシチズンのロリ・ワラックさんが、ニュージーランドの交渉団副代表に署名を手渡しました。
各国の仲間からは、相変わらず日本のTPP参加反対の運動への期待が高いです。今後も、幅広い国民的な共同と国際的な連帯で、TPPの危険性を広く知らせ、日本政府の参加表明を阻止していくことがいっそう重要だと痛感しました。
何かと思えば、星条旗のシャツを着たアメリカの多国籍企業をイメージした大柄の男性(アンクルサム)と、ニュージーランドをイメージした小柄な男性が3ラウンドのボクシングをしました。最初、ニュージーランドの男性は交渉の秘密性を批判するため目隠しをしていて、アンクルサムにしたたかに打ちのめされます。次のラウンドも関税撤廃やISD条項などTPPの危険性が暴かれ、最後に会場の応援でようやくアンクルサムをノックダウンするという筋書きで、なかなかでした。
ニュージーランドの地元新聞「ザ・ドミニオン・ポスト」(12月4日付)から |
その後、労働組合の人やビクトリア大学の教授、看護師協会の代表、環境NGOの人が次々にあいさつしました。また、この日の地元新聞には、ジェーン・ケルシーさんのインタビューが2面に出ていましたが、なかなかの扱いでした。
休刊のお知らせと新年号のお届け |
次号の12月31日付は休刊します。 1月7日付新年号は一週間早くお届けします。新年は、1月14日号から通常の発行となります。 (新聞「農民」編集部) |
[2012年12月]
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