フクシマを忘れない
米2トン
南相馬市(福島)の保育園へ
昨年4月から岩手県陸前高田市や宮城県南三陸町の保育園に20トンのお米を届けてきた横浜市の「被災地の子供たちにお米と笑顔を届ける保育園の会」と、庄内農民連・庄内産直センター(山形)は11月24日、福島県農民連・南相馬市農業を守る会と共同して「フクシマを忘れない―お米を届ける行動」を行い、南相馬市内にある保育園にお米を届けました。
被災地の子供たちにお米と
笑顔を届ける保育園の会
横浜市
山形 庄内産直センターと協力して
復興ほど遠く長い支援必要
JR福島駅で「保育園の会」の5人と合流し、米2トンを積んだトラックと庄内からの参加者3人を乗せたワゴン車は、一路南相馬市へ。途中、通り抜けた全村避難の飯館村は生活感のない異様な雰囲気。
南相馬市役所に到着し、休日にもかかわらず幼児教育課の担当栄養士、渡部浩子さんや南相馬市農業を守る会の木幡信雄さんら3人と合流し、「お米を届ける行動」を開始しました。
最初に「原町あずま保育園」に行きました。待っていた保育士さんにも手伝ってもらい、2トンのお米を園児数に応じて7つの保育園分に小分けして、次の訪問先の「かしま保育園」へ。待っていた園長の八巻美喜子さんや原町聖愛保育園の事務長、鈴木マサ子さんらを含め15人で懇談しました。地元新聞の記者も取材に来て(3社も!)、少し緊張感のある交流となりました。
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被災地の保育園関係者と懇談する「保育園の会」のみなさん(正面左側)=南相馬市 |
懇談のなかでは、「子どもたちは少しずつ落ち着きを取り戻しているが、表土をはぎ、砂を入れて除染した園庭でも、親御さんの理解と安全を考えて子どもたちを30分しか遊ばせられない」という発言の重さをひしひしと感じました。除染・損害賠償・医療保障などまだまだ復興にはほど遠く、先の長い支援が必要だなと感じました。
1年かけて米10トン届ける 保育園に別れを告げ、木幡さんの案内で原発から10キロの立ち入り禁止区域の近くまで行きました。津波と放射能汚染の影響で跡片付けも進まない被災地。地震で地盤沈下し水没した広大な農地や小高町の中心商店街。また、放射能汚染されたガレキの入った黒くて大きなフレコンバックが、行き先なく積まれたままになっていまいた。そして、放射能で汚染され稲の作付けができない水田を、“荒らしたくない”という農民魂で3メートル近いセイタカアワダチソウを1カ月かけて刈り取った1200ヘクタールもの広大な農地など、進まない復旧・復興に怒りや悔しさなど複雑な感情の入り交じる体験でした。
言葉ではうまく表現できないもどかしさもありますが、原発の被害はこれからも目に見えないかたちで長く続くでしょう。私たちにできることをみんなで考え、「復旧・復興を早急に」「原発即時ゼロ」と声をあげ続けることが、私たちにできる大きな支援ではないでしょうか。
「保育園の会」は、今年7月から当面1年をかけて陸前高田市に5トン、福島に5トンのお米を届けようと取り組んでいます。
(山形・庄内農民連 渡部正一)
(新聞「農民」2012.12.17付)
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