「農民」記事データベース20121217-1050-06

本の紹介

宮下正次著
野にも山にも炭を撒(ま)く
炭の力で緑の地球に


森林再生に取り組み25年
「困ったときの炭だのみ」

画像 ナラやクリ、ブナなどの広葉樹が枯れ始めた。国は、原因とされたカシノナガキクイムシを農薬散布すれば防止できるとして対策をとってきたが、効果はあがっていない。松枯れもマツノザイセンチュウが原因ということで農薬散布してきたが、多くの松林を失った。原因は土壌の酸性化だ。そこで炭をまいてみた。枯れそうなナラが元気を取り戻し、樹勢が回復してきた。3年目にはどんぐりがどっさり実って、思わず「熊さん、どんぐりがなったよ!」と叫んだ。ナラ枯れをとめることができた。日本初・世界初の出来事だ。2012年、国は農薬から炭散布に舵(かじ)を切った――。

 長年、林野庁で働いてきた著者の宮下正次さんは1987年に「森林(やま)の会」を設立。奥日光の森林衰退調査をはじめヨーロッパや南極圏にも足を運んで、森の再生に取り組んできました。そして、「立ち枯れには炭がいいんだよ」と教えてくれた杉浦銀治さんとの出会い。いま、宮下さんは、青年に山に入ってもらい、間伐を行い、その材を炭にして行政が買い上げ、山にまくことを提案しています。

 森林の立ち枯れを追及して25年、炭をまいて15年。この本は「困った時の炭だのみ」―宮下さんの奮闘記でもあります。

▼定価 1800円+税
▼発行 五月書房 TEL03(3233)4161

(新聞「農民」2012.12.17付)
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2012年12月

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