「農民」記事データベース20121217-1050-01

このままでは危ない!

選挙が終われば
“TPP推進”


安倍自民党総裁、1月に日米首脳会談を打診

 選挙後をにらんで、アメリカと財界のTPP参加圧力が強まっています。

 アメリカ最大のシンクタンク(研究機関)で“影の政権”ともいわれるブルッキングス研究所などが11月28日に経団連会館で開いたシンポジウムで、同研究所のミレヤ・ソリース日本部長は次のように述べました。

 「TPPはアメリカにとって必須の枠組みだ。TPPに日本が参加しなければアメリカは大きなダメージを受け、TPP全体の成功もおぼつかなくなる。日本の参加は、日米同盟にとって極めて重要だ」。

 日本が参加しなければTPPそのものがつぶれてしまうという危機感にもとづき、日本の利益ではなく、アメリカの利益のためにTPPに入れという異例の圧力です。

 経団連の米倉弘昌会長も「まず交渉に参加し、守るべき品目を主張すべきだ。自民党は交渉入りには反対しないと思う」と圧力のエール(「日経」11月28日)を送っています。

 「米で譲り、砂糖を例外に」?

 一方、「守るべきは守る」という民主、自民、維新などの“ゴマカシ公約”への助け船のつもりなのか、農水省幹部は「米で譲り、砂糖を例外に」と言い出しています(「日経」12月5日)。

 関税の撤廃を受け入れて所得補償をする場合、米ならば国民の理解が得やすいが、砂糖では難しいという打算からです。

 こういう圧力のもと、自民党の安倍総裁は、すでに首相気分で、1月中旬に訪米して日米首脳会談を行うことをアメリカ側に打診したといいます(「共同」12月8日)。アメリカ政権内でも「年明けに新首相が訪米し参加表明の意思を伝え」、日本のTPP参加問題が1月に「大きなヤマ場」を迎えるとの見方が浮上しています(「日経電子版」12月7日)。事実とすれば、完全な裏切りです。竹下内閣の牛肉・オレンジ自由化、「この顔が嘘をつく顔に見えますか」と言って選挙を乗り切り、消費税導入に道を開いた中曽根内閣……。思い出しましょう。選挙でゴマカシ公約を宣伝し、終われば手の平を返すのは自民党の常套手段です。

 国民を欺く政党に「ノー」を

 公示日のNHK党首討論では、日本共産党が明確にTPP反対の「×」をつけたのに対し、自民、民主、公明、維新は、賛成(○)の本音を隠し、「△」をつけました。その一方で、選挙の現場では「TPP反対」を宣伝し、有権者を欺いています。

 安倍氏は「例外を認めさせるために交渉する」「民主党には交渉力がないが、自民党にはある」と演説しています。自民党はアメリカいいなり政治の本家本元。こんな政党に「交渉力」などあるはずはありません。

 TPPは例外を認めない交渉です。12月から交渉に参加したメキシコとカナダは、すでに合意したTPPの内容について「いっさい変更を求めないこと、今後決められることについても口をはさまないこと」を約束させられています。

 日本は、BSE牛肉の輸入規制緩和などの条件を飲まされたうえ、できあがった協定を受け入れるだけで、交渉の余地も逃げる余地もない―これが真相です。

 「TPP反対」という公約を信用して投票したのに、選挙が終わったら交渉に参加するなどという裏切りを許すわけにはいきません。

 「TPP参加絶対反対」と明確なのは日本共産党。「条件つき賛成」の自民、民主、維新、公明。「無条件賛成」の「みんなの党」。内輪もめと野合で行き先不明の「未来の党」……。国民を欺く政党に「ノー」をつきつけましょう。

(新聞「農民」2012.12.17付)
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2012年12月

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