都市の農業と農地の保全は?施策や制度の具体化を議論
農業法学会がシンポひらく日本農業法学会は11月10日、横浜市の横浜国立大学でシンポジウム「都市農業と都市農地――転換期におけるその意義と制度的位置づけ」を開きました。武蔵大学の後藤光蔵教授が企画の趣旨を説明。「都市農業と農地の制度や実態、課題について理解を深め、保全のためにどのような施策や制度が必要なのか、また制度として、どう具体化していくのかを議論してほしい」と提案しました。
現状と問題点国土交通省の古澤達也調整官が、都市計画制度のもとでの市街化区域内農地の取り扱いの現状と課題を説明しました。東京農工大学の淵野雄二郎教授は、都市農業と農地の現状と問題点について報告。これからの市街化区域内農地と農業を考えていくうえで、「担い手の育成と市民参加型の地域農業支援システムを確立することが必要だ」と述べました。また、「生産緑地」と「宅地化農地」が混在している状況をいかして、(1)農業振興地域に準じた地区(2)雑木林や農地が混在する地域をそのまま保全する地区(3)介在農地を活用した市民と農家が一体となって運営する協働農園地区―をつくるなど、整備の必要性を訴えました。 東京都農業会議の原修吉事務局長は「都市農地保全制度の現状と課題を考える」のテーマで報告。「都市農地を守る制度と農業経営を継続する制度の両方が必要だ」と述べ、「納税猶予や生産緑地の基本を継続するとともに、畜産を含めた都市農業が経営として存続できる仕組みを提案すべきだ」と発言しました。
空洞化の中で横浜市南西部農業委員会の江成卓史係長は、農地管理の担い手が減少し、農地利用が空洞化するなかでも、都市住民に“農”への参加が広がり、直売も増えていることを紹介。相続税の納税猶予制度を活用するとともに、1人あたり年900円の「みどり税」を市民税のなかで徴収している点を報告しました。全国農業体験農園協会の加藤義松理事長は、農業体験農園の効果について、経営の安定化、収穫作業の省力化などの園主のメリット、入園者同士の連携・コミュニティーの構築など入園者のメリットに触れました。さらに、農業後継者と支援者の育成や農地の保全などの行政にとってのメリットもあげました。
(新聞「農民」2012.12.10付)
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[2012年12月]
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