「農民」記事データベース20121203-1048-05

公害地球懇がフォーラム開催

私たちで作ろう自然エネルギー

佐々木健洋さん(福島県農民連)が事例報告

 公害・地球環境問題懇談会(公害地球懇)は11月10日、東京都内で「私たちで作ろう自然エネルギー」をテーマにフォーラムを開催。会場いっぱいの110人の参加者が、熱気のこもった討論を繰り広げました。


 農村から始まるエネルギー自立

 産業技術総合研究所の歌川学さんの基調報告に続いて、「自然エネルギー市民の会」事務局長の早川光俊さんが問題提起を行いました。「自然エネルギー市民の会」は、市民出資による自然エネルギーの普及事業に取り組んでおり、そのノウハウを全国の新たな取り組みにも役立てようと活動しています。現在、福島県農民連で準備が進んでいる太陽光発電の取り組みにも協力しています。早川さんは、「市民の会」の市民・住民との協働を原則とした取り組みを紹介しながら、資金調達や組織形態などを具体的に提案しました。

 事例報告では、NPO「多摩市循環型エネルギー協議会」の山川陽一さんや、太陽光発電設置者の市民・法人で構成している「太陽光発電所ネットワーク」の都筑建さん、長野・大町市のNPO「地域づくり工房」の笠木宏夫さん、福島県農民連事務局の佐々木健洋さんが、報告しました。

 佐々木さんは、「地域のエネルギー自立から始まる日本再生――エネルギー自立の運動は農村から始まる」をテーマに報告。農山村が自然エネルギーの宝庫であることや、ドイツのエネルギー政策を紹介し、ドイツでは地域で使うエネルギーを地域の再生可能エネルギーで賄おうというエネルギー政策が推進されており、再生可能エネルギーの活用だけでなく、省エネ住宅リフォーム助成やエネルギーの高効率化などが総合的に進められていることを強調しました。また現在、福島県農民連でも二本松市や伊達市で市民や農民連組合員の出資で250キロワットの太陽光発電所を設置する計画が進んでいることを報告しました。

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「固定価格買取制度の施行というチャンスをいかして“自然エネルギーでも農民連”と信頼されたい」と語った佐々木さん(中央)

 地域振興と結ぶ省エネ・再エネ

 討論では、「省エネというと市民のなかには、計画停電が実施された昨年夏の省エネのように“とにかくガマンして、スイッチを切る”という印象が強いのだが…」という意見があがりました。佐々木さんは、「ドイツでは“つらい”省エネではまったくなかった。省エネ住宅リフォームへの助成が地域経済の振興にもなっており、多くの雇用も守られている」と答えていました。

 「自然エネルギーの活用を、地域経済の振興や農林漁業の再建につなげていこう」という発言も多く、「農家の収入が上がらなければ農業も農村も維持できず、太陽光発電の売電収入は農家の収入増に期待できる」と、佐々木さんは話しました。

 また会場からは、「現在のエネルギーを大量生産・大量消費する社会を変えることなく、自然エネルギーを原発や化石エネルギーの代替にしようというのは、持続可能でないのではないか。再生可能エネルギーで暮らす、ということは今までの生活の延長ではない、社会のあり方そのものを見直すことだ」などの発言が続きました。

(新聞「農民」2012.12.3付)
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2012年12月

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