東電・政府の責任問い原発ゼロへ
事故賠償金は何としても非課税に
賠償請求シンポ
全国商工団体連合会(全商連)、税経新人会全国協議会、自由法曹団でつくる完全賠償連絡会は10月25日、都内で「東電損害賠償請求シンポジウム」を開き、54人が参加しました。
全商連の菊池大輔副会長が開会あいさつ。「原発事故に対する損害賠償請求は、原発推進勢力とのたたかいという意義をもっている。怒りをもって臨み、賠償を勝ち取ろう」と訴えました。
3人から報告がありました。「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は、首相官邸前の行動など原発ゼロを求める世論と運動が広がる一方で、昨年の野田首相による「収束宣言」を起点に、原発推進勢力の巻き返しもみられると述べました。
こうして、東電が賠償について「切り捨て」「打ち切り」の姿勢を鮮明にし、損害のとらえ方も、東電が勝手に決めている点を批判。今後は、賠償金の性格を「事業収入の補てん」というだけでなく「生活再建のための賠償」と位置づけて、被災者の権利として行使すべきだと訴えました。最後に、「東電とともに、最大の原発推進勢力である国の責任を問う取り組みが必要だ」と結びました。
税経新人会事務局次長の佐伯正隆税理士は、原発事故の賠償金に課税することについて、(1)人類史上まれにみる事件であり、加害者でもある国が課税すべきでない(2)賠償金はその大部分が心身に加えられた損害への支払い、つまり見舞金である(3)賠償金は所得の補償でなく事業の再建費用である―との理由でその不当性を明らかにしました。
さらに、日本医師会が「賠償金に対して課税されることが続けば、医療機関の復旧・復興に向けた努力への妨げになるとともに、地域医療の崩壊がもたらされる事態となります」との要望を国に出していることを紹介しました。
全商連の勝部志郎常任理事は、賠償請求運動の到達点と課題について報告。「会員自身が請求運動に取り組むことによって、原発の危険性の告発が進むとともに、原発ゼロをめざす運動の高まりが賠償請求の正当性を後押しするという相乗的な効果を生み出している」と述べました。
農民連の吉川利明事務局次長が発言し、この間の農民連の賠償請求の取り組みと到達点を紹介。「力を合わせて東電と国の姿勢を変えさせましょう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2012.11.12付)
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