旬の味
稲刈りも終わり、田んぼに秋の冷たい雨が降っている。今年の夏、初めてヒナの育成を任され、150羽のヒヨコと格闘する日々が始まった▼つまようじほどの足で走り回る黄色の小さな生き物は、いくら見ても見飽きなかった。けれど、順調だと思った矢先の9月、群れのなかで体調を崩すヒナが出始めた。夏場に病気が発生しやすいのは、百も承知のうえだった。母が、通常よりも30羽も多くヒナを仕入れたのもそれを見越してのことだ▼けれど毎朝、最初の仕事が死んだヒナを片づけるという日が何日も続くと、さすがにへこんだ。保健所に検体を出して原因はわかり、「抑え込むには抗生物質を」と言われた。薬を使いたくない一心で、養鶏に関する本を机の上に積み上げ、方法を探した▼結局、中島正著の『自然卵養鶏法』のなかに「飲み水に食酢を混ぜて与える」という記述を見つけ、病気は止まった。奇しくもそれは、父が養鶏を始めるきっかけになった本であり、20数年前、両親をTターンさせた本だった。 (よ)
(新聞「農民」2012.10.29付)
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[2012年10月]
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