農民運動から生まれた「農民の家」
(鳴子温泉)
ぜひ一度ご来訪ください
「農民の家」農協の新代表理事組合長
鈴木弥弘さん(宮城農民連事務局長)
「農民の家」は1949年2月8日、宮城県鳴子温泉に設立された農民の温泉保養所で、正式には「宮城県農民の家農業協同組合」といい、日本で(たぶん世界でも)唯一の温泉専門農協です。
どうして設立したかというと、戦後、農地解放が戦前の農民運動の成果として勝ち取られましたが、宮城県でも各地に日本農民組合(日農)が作られました。そして、農地改革について法令の解説や実施方法をめぐって、日農支部の幹部を集めて研究会が鳴子温泉で開催されたことに端を発します。この時、講師を務めたのが、日農のリーダーだった菊地養之助や日野吉夫、袖井開らで、温泉に入りながら「働きづめに働いてばかりいては、いい知恵も浮かばないし健康も損なう。温泉で休養しながら教養を高める施設、農民の別荘をつくれないものか」と、夢を語り合った。その後、農協法の施行と同時に、農協が相次いで設立されましたが、日農仙北連絡会が母体になって農民保養所設立の件が決議され、専門農協の「農民の家」が誕生しました。
創立して今年で63年。自炊部屋(流しとガス、電気釜など)230室、収容人員600人、4つの源泉を掛け流しできる湯量があり、9つの浴槽があります。年間の利用者は10万人以上で、最近は組合員以外の利用が増えています。毎月5日と20日には演芸会が開かれ、そのほかにもゲートボール大会やグランドゴルフ大会など冬期間を除いて毎月開催されています。また、自炊湯治客のための売店も完備、カラオケルームもあります。最近、月1回の無料法律相談も復活させました。
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「農民の家」全景 |
私は、8月8日に開かれた第61回通常総代会とその後の理事会で、7代目の代表理事組合長に選任されました。温泉リゾート地での利用客が減少傾向にあるなかで、「農民の家」も例外ではありません。湯治を主体とした保養・滋養、そして研修・教養の殿堂として「農民の家」を守り発展させ、日本の農林漁業の再建と農民の健康、社会的地位の向上に役立ちたいと思っています。
会員、読者のみなさん、東北・宮城の温泉番付「東の横綱」、鳴子温泉の「農民の家」へぜひご来訪ください。職員一同お待ちしています。
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▼宿泊代(1泊2食付き)おとな7910円、こども5250円
▼連絡先 TEL 0229(82)2121(代)
(新聞「農民」2012.10.29付)
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