穏やかな瀬戸内の離島・祝島
上関原発
反対のたたかいに触れて
(上)
小島和子さん
特定非営利活動法人・アジア太平洋資料センター(PARC)の自由学校は、10月6日から8日までアクションツアーを行い、「祝島・脱原発後の地域を離党から考える―山口県上関町長島・祝島を訪れる」を企画しました。このツアーに参加した小島和子さんから感想を寄せていただきました。
島の生活が一変する建設計画
“月曜デモ”1146回目
農業・沿岸漁業の自給的な生活営む
山陽本線・柳井港駅の目の前から定期船「いわい」に乗って約1時間。瀬戸内海の西端に浮かぶ離島・祝島(山口県熊毛郡上関町)に到着しました。温暖な気候と豊かな土壌や海の恵みを受けて、人口500人余りが農業や沿岸漁業を中心とした自給的な暮らしを営む島です。
一見すると素朴な祝島は、原発建設に反対する長いたたかいの舞台でもあります。1982年、当時の上関町長が中国電力による原発誘致の意向を表明。すぐに祝島の住民9割以上による反対組織が立ち上がり、以来、行政や中国電力に対して息の長い運動を展開してきました。
30年もの間、絶えることなく原発建設反対を唱えてきた島とはどんなところだろう?
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原発建設予定地―「長島の自然を守る会」の案内で海上から建設予定地に接近。瀬戸内海では奇跡的に開発をまぬがれてきたこの沿岸は、ほかではもう見られなくなってしまった希少な生きものが数多く生息しているそうです |
免許期限の延長を申請する中国電力
自分の目で確かめたくなった私は、10月初旬、初めて祝島を訪れたのです。建設予定地は、祝島の対岸にある長島・田ノ浦湾です。そこは長島のどの集落からも見えない島の西端に位置していますが、祝島の集落からはちょうど真っ正面。ここに原発が建設されれば、それだけで穏やかな島の暮らしが一変するであろうことは想像に難くありません。
滞在中の10月8日(月)、島内でデモと集会が行われました。島では毎週月曜日の「月曜デモ」が長く続いており、この日でなんと1146回目!
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月曜日デモ―「きれいな故郷を守ろう!エイ、エイ、オー!」と、せりふ自体は威勢がいいのだが、その口調はデモにしては少しおっとり。日々の暮らしと密着したデモだからこそかもしれません |
ちょうど私が訪れる直前、建設予定地の公有水面埋立免許の期限が切れたのですが、中国電力はすぐさま県に延長を申請。建設継続の意思を示したため、この日は島外からの関係者も含めた200人が集結。軒先をぬうようにゆったりと練り歩くデモの列に私も加わりました。
(つづく)
(新聞「農民」2012.10.29付)
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