「農民」記事データベース20121022-1042-08

旬の味


 味覚の秋だ。愛媛といえばミカンを連想するが、中山間地では栗の生産が盛んで、生産量は茨城、熊本に次いで3位▼収穫は9月上旬の日向4号から丹沢、大峰、筑波、銀寄(ぎんよせ)、利平、石鎚(いしづち)、そして10月下旬の岸根(がんね)までこの時期に集中する。特に利平は、ゆで栗の食味が最高で市場価格は高いのだが、収量が少なく経済性が低いのが難点だ▼栗の収穫はイノシシとの競争でもある。栗畑は、イノシシの足跡と食い荒らした荒皮だけがあちこちに散らばっている。だから、畑のまわりをトタンなどの柵(さく)で囲ったり、竹のさおでたたき落として収穫する▼わが家では、夕暮れ間際に拾いに行って、親戚(しんせき)や知人におすそ分けする分だけ拾う。甘煮にしたり、ゆで栗を乾燥させて「勝ち栗」にしたり、お正月の「栗きんとん」用に冷凍保存するため、渋皮をむくのは私の仕事だ▼地元の書店に行ったら、農業のブースに「農家が教える自給エネルギー」や「イノシシの捕獲と解体」といった本が目に入った。農村の現状の反映なのだろう。

(森)

(新聞「農民」2012.10.22付)
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2012年10月

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