農民連ふるさとネットワーク
石田さん 米づくり奮闘記(5)
稲刈り後の袋詰め作業は
次の目的と希望への労働
9月7日、いよいよ稲刈りです。
その前に、前日乾燥機に刈り入れた稲実を籾摺(もみす)りし、玄米にして30キロに詰める作業をしました。米の乾燥は食味を落とすことなく、保管に適した水分まで乾燥させます。稲刈りをした時の稲実の水分は20〜30%あります。乾燥室の温度を40度以下に抑え、稲実の穀温を上げて19%以下に水分を落とし、玄米での水分を15%前後に調整します。
それが終わると籾摺りをし、玄米になった米を30キロ紙袋に詰め、タンクを空にして、刈り入れた稲実の受け入れ態勢が整います。
この日の袋詰めの品種はコシヒカリで、成袋は55袋・1650キロ、クズ米も20袋に1袋が発生、終了までに2時間ほどかかりました。
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晴天の下、いよいよ稲刈りの始まりです |
一言で袋詰め作業といっても重労働です。一人で3つの作業をすることになります。看貫(かんかん)秤(ばかり)で量り、30キロの袋に詰めた米袋を持ち上げ、そして下ろす。口を折り結び、抱え、パレットまで運んで積む。単純に「55袋・1650キロ」と言いますが、実はその倍の負荷が体にかかってくるのです。
昔、倉庫事業に携わった時、30〜100キロの米袋を、一日中、来る日も来る日も、ひたすら荷積み荷降ろしをする荷役労働者が、疲れ果て食事がのどを通らなくなり酒ばかり飲む。「50を過ぎると、夜中、大きな声を一つ上げ死んでゆく」と言った荷役の言葉を思い出します。
積んでは崩す、その繰り返しの荷役労働。育苗から出荷までの農作業は、命を育て明日への目的と希望に続く労働。その違いが、今日のこの労働を耐えさせるのだろうと、汗を流しました。
(つづく)
(新聞「農民」2012.10.22付)
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