ヨーロッパの食品表示は?
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
西分千秋さんの報告
「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」は9月4、5の両日、ベルギーのブリュッセルで開かれた「遺伝子組み換え作物(GMO)フリーゾーン欧州会議」に参加し、その機会にヨーロッパの食品表示制度について調査しました。「キャンペーン」など3団体は20日、都内で「世界の遺伝子組み換え作物のいま」をテーマに学習会を開き、調査結果を報告しました。 「キャンペーン」の西分千秋さんの報告(要旨)を紹介します。
高いレベルの見直しすすむ
9月6日に、EU(欧州連合)機関の委員会のメンバーで、食品関連、環境、消費者、協同組合の4つの政策に携わっている「ユーロ・コープ」を訪れ、2011年11月に公示され、12月に発効した新たな食品表示規則の改正点の特徴について調査しました。従来の規則は、規制の調和によるEU域内流通の円滑化を目的としていましたが、新規則では高いレベルの消費者保護という観点から見直しが行われ、消費者が健康や環境、社会、倫理(たとえば動物福祉、フェアトレードなど)などを考慮して食品を選択し、安全に食べることができるような情報を提供するよう求めています。
さらに、消費者の関心の高い事項や重視している事項を考慮するよう求めており、消費者の知る権利、選択の権利の尊重という点でも高いレベルの消費者保護を目的としています。また、正確な表示、誤認を招く表示の防止に重点を置くとともに、消費者にわかりやすい表示方法に力点が置かれています。
従来は、食品表示に関する規制の権限は加盟国ごとにありましたが、新規則では、EUの権限として加盟国に直接適用されることになりました。
もう一つの大きな改正点は、表示すべき事項に、栄養表示と原産国または原産地表示の品目を追加したことです。従来は、原産国の表示義務はなく、はちみつ、果物、野菜、魚、牛肉とその製品、オリーブ油については、品目ごとの基準により原産地表示が義務づけられていました。新規則では、豚肉、羊肉、山羊肉、鶏肉のほか、それ以外の肉類、生乳、乳製品に含まれる乳成分、原材料としての肉類、未加工食品、そして食品のなかで50%を超える原材料についても義務づけを拡大しました。
栄養表示についても、(1)エネルギー(2)油脂(3)飽和脂肪酸(4)炭水化物(5)砂糖(6)たんぱく質(7)塩が義務化されました。
今回、遺伝子組み換え食品表示の改正は行われませんでしたが、日本とEUのGM食品などの表示制度を比較した表を示しておきます。(表)
(新聞「農民」2012.10.22付)
|