「農民」記事データベース20121022-1042-03

全国代表者会議の発言から


新たな要求、つながり広がる
いま、受けとめる組織が必要

岩手県連 岡田 現三

画像 岩手では、漁民組合ができたり、損害賠償請求に取り組む中で、新たな要求や広がりが生まれています。最近では、漁民のなかにも風評被害で魚価が下落し、損害賠償の請求をしようという声も出てきました。

 また西磐井農民組合では、シイタケの損害賠償請求に取り組んでいますが、そのなかで「損害を計算してみたらたいした金額にならない。資料を集めたり住民票を取り寄せたり面倒だから請求をやめよう」という組合員がいました。そうしたら、普段はあまりものを言わない組合員が、「いや、請求しよう。なんぼでもいいから請求しないとだめだ」と言いました。お互い励ましあってやっています。これって、なかなかいいなと思いました。

 また、これまで空白だった一戸町で、東電の職員を呼んで損害賠償請求の相談会をやるなかで、酪農家が4人加入して支部ができました。そして、今後どうやっていこうかという話し合いの中で、「うちのばあちゃんの介護保険料が高くて困っている」というような話が出て、「世帯分離したらいいんじゃないか」「税金の学習会もしよう」ということになりました。こういうふうに、要求がどんどん広がっていく、こういう取り組みが大事だと思いました。

 それには、役員会や支部・班の集まりを定期的にきちんと開くという当たり前のことをもういっぺん見直していきたい。そして、そういう要求を地域できちんと受け止める組織がどうしても必要です。地域の要求をくみ上げながら、組織の拡大を進めていきたい。

なんのための準産直米か
原則にもどって会員拡大

富山県連 境 欣吾

画像 毎年、組織拡大にチャレンジしていますが、なかなかうまくいきません。問題は、運動を担っている私たちの頭の中にあると思っています。未集金を解決しようと会員リストを見ると、本当に1年間ほったらかしです。1年に1回訪ねていって「たまった会費と新聞代をお願いします」という会員が少なからずいて、本当に申し訳ないと思っています。体制が弱くて多様な要求にこたえられず、会員が点在していて日常的なつながりが弱くなっています。

 しかし最近、ちょっと変わった動きが出てきました。本部から言われなくとも自発的に会員を増やしています。きっかけは準産直米の取り組みです。いままでは、「米は出すけど、農民連の会員にはならん」という農家に対して、「せっかく米を出してくれるんだから」と、会員にお誘いしないできました。しかし、「それは問題だ」という指摘も受けていました。

 今年はどうするか、正面から議論しました。そして、「やっぱり原則にもどるべきだ。なんのために準産直米をやっているのか、どういう思いで全国の仲間とつながっているのか、ちゃんと話せばわかってくれる」ということになって、農民連に入ってもらうようお願いしました。何度も足を運んで「わかった」という人もいたし、「とっくに会員だと思っていた」という人もいました。そしてわかったことは、単に価格だけの問題ではなく、準産直米に参加すること自体が農民の要求であり、作った米が確実に自分たちの米を求めている消費者に届くことへの喜びです。

 会員どうしで田まわりや学習などで日常的につながっている地域では、会員を増やしています。担っていける後継者をつくり、面的に会員を増やしていくことがどうしても必要です。「対象者が見つからない」という自分のなかにある壁をはねかえしてがんばりたい。

(新聞「農民」2012.10.22付)
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2012年10月

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