「農民」記事データベース20121022-1042-02

国税通則法の「改悪」押し付け

税務署、各地で記帳説明会


農家の不安にこたえ
出足早く「相談会」を開こう

 記帳を義務づけ徴税環境を整備

 2011年11月に国税通則法が「改悪」されました。「消費税増税」を前提に、全事業者への記帳を義務付ける所得税法の改悪と、所得税の最高税率や法人税の引き下げ、消費税中心へと移行させてきた税制を支え、庶民大増税時代に備えるための徴税環境を整備するものです。

 具体的には、すべての業者に記帳と帳簿書類の保存の義務付けや、質問検査権に「提示・提出要求」を加えるなど、さらに罰則を強化しています。

 一方、納税者権利憲章を作る運動の中で、更正の請求期間の1年から原則5年への延長、すべての処分について「理由の付記」を行うこと、税務調査手続きに関する事前通知や終了手続きが法制化されるなどの前進面もあります(詳しくは11月に発行する「確定申告の手びき」参照)。

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 攻撃に負けず自主申告運動を

 こうしたなかで、奈良、宮崎をはじめ各地の税務署から白色申告者に「記帳説明会」「参加記帳確認票」「青色申告のすすめ」などの通知が送られてきています。

 国税庁のホームページによると、「新たに記帳を行う方や記帳の仕方が分からない方のために、記帳・帳簿等の保存制度の概要や記帳の仕方等を説明する」ためのもので、全国一斉に10月下旬から11月上旬の間に最寄りの税務署で実施するとされています。

 宮崎税務署は、「説明会」の案内にとどまらず、「記帳指導の希望アンケート」も通知し、税理士への依頼の有無、青色申告会・商工会への加入の有無や、パソコンでの申告、個別指導の希望などを取っています。また「青色申告のすすめ」「青色申告承認申請書」を同封し、青色申告会・商工会・税理士会などの指導機関の案内までしています。

 青色申告は一定に実務負担が必要で、しかも有利になる場合ばかりではありません。自分の経営との関係で判断することが賢明です。またアンケートを返さなくてもまったく不利益はありません。心配な方は、農民連の単位組織・班役員に相談してください。国税通則法は一部改悪されましたが、申告納税制度の根幹はいささかも揺らいでいません。税務署の攻撃に負けず、私たちが築き上げてきた自主計算・自主申告の運動を貫くことがますます大切です。

 農民連「記帳簿」ますます重要に

 農民連で申告しているみなさんは、農民連の「記帳簿」と「確定申告の手びき」がありますから、まったく心配ありません。税務署からも「しっかりした記帳簿ですね」と太鼓判が押されています。

 税務署からの「お知らせ」に農家は不安を募らせています。また、これまで記帳してこなかった農家は、「説明会」で税務署員等の説明を聞いただけで記帳できるわけではありません。この機会をいかした農民連の税金運動の出番です。出足早く、宣伝や対話を行い、相談会も開いて農家に「農民連に入って一緒に税金申告にとりくもう」と訴えましょう。

 国税通則法の改悪に対応して、改めて納税者の権利を守るたたかいについて学び直すことが大切です。新しい「確定申告の手引き」は、その最良のテキストです。生命保険料控除の大幅な改組、消費税の免税基準の改定など、今年も多くの税制「改正」があります。会員や農家に大いに普及しましょう。

(税対部)

(新聞「農民」2012.10.22付)
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2012年10月

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