「農民」記事データベース20121015-1041-07

全村民の切実な要求かかげ
村の復興へ奮闘する農民連

長野 栄村

 東日本大震災の翌日に発生した長野北部地震で大きな被害を受けた長野県栄村に、今年5月、農民組合が結成されました。いま栄村農民組合は、村の復興のために、全戸数の6割を占める農家の要求とともに、全村民の切実な願いを実現するために、先頭に立って取り組んでいます。
(長野県農民連 宮沢国夫)


被災者への措置打ち切りに
早急に署名集め、村に要請

 準産直米への出荷取り組みも

 稲がようやく穂を垂れ下げはじめた9月12日、農民連ふるさとネットワークの横山昭三さんを講師に招いて、米をめぐる情勢と取り組みについて学習会を開きました。参加したのは、農民組合員とこれまで農民連の準産直米にかかわってきた生産者12人です。

 この学習会の目的は、「村の主力作物の『栄村米』を、準産直米の取り組みを通じて広く業者・消費者に届け、どう栄村復興の礎にするか」というものです。米をめぐる情勢を学習し、「栄村米」を普及するために生産者への出荷の呼びかけを強めることを確認し、村に対して、(1)米の品質を保障する一環として食味計を購入すること、(2)豪雪地帯の条件を生かした「雪室米」として出荷するための貯蔵施設を作ること、(3)通年出荷するための低温倉庫の設置、(4)生産者に年末一時払いができる基金の創設などを要望していこうと話し合われました。そして、9月末から10月上旬の稲刈り本番のいま、準産直米への出荷を呼びかける取り組みが強められています。

 学習会で出た願いを取り上げ

 東日本大震災の被災者に対する医療費の一部負担金の免除期限、介護保険利用者の減免措置の終了期限が9月30日となっています。学習会の中でも「措置の打ち切り」が話題となり、米にかかわる問題だけでなく、こうした村民の切実な問題を取り上げ、村に対して緊急に要請することになりました。

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村長(手前)に要請する山本一郎組合長(中央、立っている人)ら農民組合と仮設住宅で暮らす人たち

 さっそく「措置継続を求める」署名用紙を作り、免除の対象者の多い仮設住宅を訪問すると、仮設住宅に住んでいる女性のみなさんが自ら署名を集めるなど、2日間で全村900世帯中102筆を集めました。村民からは、農民組合の事務局長に「一番困っていることだ。いいことをしてくれた」との電話も入りました。

村の姿勢かえ継続約束させる

 この署名簿を持って9月24日、仮設住宅の女性3人を含め10人で島田茂樹村長へ要請しました。村長は当初、「震災から一年半経過した。これまで被災者へ財政負担をしてきたが、今後も継続すると被災していない住民との不公平感が出る」などと「継続しない」との回答でした。参加者からは、「被災者は決して元の生活に戻ったわけではない。さらに支援を続けてほしい」と、決意を込めて繰り返し要望する中で、村長も「これだけの署名を集めてもらったし、みなさんの思いを受け止める」と述べ、国民健康保険対象の被災者に対する医療費の一部負担金の免除期限と介護保険利用者の減免措置を、村単独の事業として来年3月まで継続することを約束しました。実は、9月議会でも取り上げられていましたが、「検討する」という答弁で終わっていました。

 農民と村民とをつなぐ農民連に

 切実な村民の要求を取り上げ、その声を村政につなぐ農民組合の役割が明らかになった日となりました。栄村農民組合は、11月上旬に税金を正しく節税し、農家経営と村民の暮らしを守る税金学習会を開く計画です。

 このことを全村民に知らせ、こうした取り組みの中で、来年の農民連全国大会までに発足時の2倍、50人の組合員にしようと意気込んでいます。

(新聞「農民」2012.10.15付)
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2012年10月

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