消費者目線の食品表示を
消費者・市民団体
“欠陥表示許さない”と会見
関連/いま求められる表示の一元化は
消費者庁が8月に取りまとめた「食品表示一元化検討会報告書」に対し、消費者と市民団体は9月25日、東京・主婦会館で緊急の合同記者会見「『欠陥表示』を許すな! 食品表示一元化にモノ申す」を開きました。
食の安全・監視市民委員会の神山美智子さん、NPO法人食品安全グローバルネットワークの中村幹雄さん、全国農業協同組合連合会(JA全農)の立石幸一さんが基調発言を行いました。
神山さんは、「報告書」が「市民・消費者の意見をほとんど反映することなくまとめられてしまった」と批判。来年3月までに作成予定の「食品表示法案」に対して、消費者の知る権利、選択の権利の確立などを目的に盛り込むことなどを内容とする「食品表示法制定への要望書」を消費者庁に提出したことを報告しました。
そのほか、日本消費者連盟の山浦康明事務局長、新日本婦人の会の笠井貴美代会長らが同席し、発言しました。
最後に「私たちは、消費者目線からの食品表示制度の実現を強く求めます。全国の消費者・市民団体・生産者団体をはじめ、表示改善を検討してきた食品事業者とも連携を深め、必ずや望むべき食品表示制度を実現させましょう」とするアピールを発表しました。
日弁連がシンポ
日本弁護士連合会は9月20日、東京・弁護士会館でシンポジウム「今あるべき食品表示の一元化」を開きました。
日弁連消費者問題対策委員会の菅聡一郎副委員長が「今日の議論を踏まえて、よりよい表示を求めていきたい」と開会あいさつ。
3人が基調報告を行い、消費者庁「食品表示一元化検討会」委員を務めた主婦連合会の山根香織会長が、「検討会」がまとめた「報告書」の問題点を指摘しました。
日弁連消費者問題対策委員会の石川直基副委員長は、「『報告書』が食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法を検討するだけで、その他の表示に関する法令についてはまったく検討されていない」と批判。「わかりやすさを追求するため、文字を大きくするのは無意味であり、表示ルールが不統一になり、表示と内容が一致しないなどの、わかりにくくなっている現制度の原因を明らかにすることが必要。単一の官庁が指導する仕組みをつくり、表示と内容を一致させることが重要だ」と述べました。
藤田技術士事務所の藤田哲氏は、世界に比べて遅れている日本の食品表示について説明し、「食品流通はグローバル化しており、食品表示の国際的調整が求められている」と語りました。
具体的には、「海外の表示事項は日本の倍以上ある。乳化剤には海外での添加制限物質や禁止物質も含まれることがある。食品添加物の表示では、乳化剤、加工でんぷん、調味料などを一括して表示することはやめるべきだ」など、問題点を指摘しました。
(新聞「農民」2012.10.15付)
|