旬の味
残暑が長かったが、秋祭りを迎えて涼しくなってきた。地元の神社では、奉納の舞やお囃子(はやし)の練習が行われており、毎晩太鼓や笛の音が聞こえてくる▼祭りは祀(まつ)りと同じ語源で、本来は神を祀ることだが、お祭り騒ぎという言葉もあるように、にぎやかな行事だけが祭りとされているのは、地域文化や民俗が継承されない現れであり少し寂しい。現代風に考えれば、農作物や家畜を生かし収穫をもたらす自然の働きの総体を神と捉えていることは明らかで、秋祭りは特定の宗教行事ではない▼農にかかわる者、農村に暮らす者として自然に感謝し、互いに支え合って地域社会をつくっていることを改めて認識する機会と捉えることもできるだろう。この地域では過疎化はないが、少子化で小学生の担ぎ手がいない集落も出始めている▼伝統はその形式に本質があるのではなく、祭りを通してあらわされる共感が本質であろう。本質をどれだけみんなのものにできるかが、伝統をふさわしい形で伝えていく要であろう。 (綿)
(新聞「農民」2012.10.8付)
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[2012年10月]
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