ロマンあふれ知恵を出し合いグリーンウエーブの成功を全国食健連 代表者・活動者会議
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は9月22、23の両日、東京・新宿農協会館で全国代表者・活動者会議を開きました。中央団体や21都府県の代表ら67人は、各地の運動や経験を交流し、10月から始まるグリーンウエーブ(食糧の波)運動を成功させようと決意を固めあいました。 全農協労連の齋藤裕委員長が主催者あいさつ。 東京大学の鈴木宣弘・大学院教授が「TPP参加をめぐる現局面―アメリカの世界戦略を背景として」のテーマで基調講演し、「TPPは、規制緩和を徹底し、1%の人々の富が増加し、99%の人々が損失を被って、貧困と格差を広げる。食料の自給も医療も十分に受けられないような生活を国民に強いるもの。これをアメリカ主導で徹底しようとしている」と指摘しました。 特別報告として、福島県農民連の根本敬事務局長が「いま、福島で生きるということ」について発言。震災・原発事故が起きた福島で、「新しい時代をつくるさきがけになる」と表明。ドイツやスイスでは、市民が議論し政治を動かしながら、農村が大事にされ、「成長と所有の経済」から「持続と共有の経済」への転換が図られていることを報告しました。
築き上げてきた運動に確信もち全国食健連の坂口正明事務局長が今後の運動方針について報告し、「TPP参加反対、消費税増税実施ストップ、原発ゼロ社会の実現、オスプレイ配備反対など国民のたたかいが大きく広がっている。こうした情勢の下、これまで作り上げてきた運動の到達に確信をもって、一致点での共同とともに、多様な課題でのたたかいと連携して、総選挙に勝利し、政治の流れを変えよう。要求実現をめざして、創意あふれる取り組みも始まっている。ロマンあふれるたたかいを進めてきた経験を広げ、知恵を出し合い、秋のグリーンウエーブを成功させよう」と呼びかけました。
TPP・原発ゼロ・再生可能エネ…意気高い発言次々討論では、意気高い発言が相次ぎました。TPP問題では、創意あふれる取り組みと草の根の運動が広がっています。奈良の代表は、「農民連や生協などが中心になって『奈良の学校給食を考える会準備会』を発足させ、小中学校の給食の状況を調査した。地産地消を推進し、ものづくりをしながらTPP反対運動に取り組んでいきたい」と述べました。全日本教職員組合の代表は「8月に開いた『教育のつどい』で、フォーラム『TPPで子どもの育ちはどうなる』を開き、子どもの健康を脅かすTPPの実態が暴露された」と語りました。 9月からすでに医師会、JA中央会などの訪問を始めている兵庫では、地元選出の国会議員への訪問も展開しています。岩手では、「いわて食・農・市民ネット」が大型パネルや牛の着ぐるみなど、宣伝に工夫を加え、地域の若い労組の組合員も宣伝に参加し、自信になっていると発言。 新潟では、中越地域でTPP反対協議会が結成され、地区労連に加盟していない農協労組も参加。「組合員も元気になり、仲間づくりをしたい」と発言しました。 山形では、田川食健連が主催した集会で、トラクター3台などがパレードを行い、歌とギター演奏も披露され、注目を浴びました。富山では、「TPPを考えるとなみの会」がシンポジウムを開き、多彩な顔ぶれがパネリストを務めました。
原発ゼロ、再生可能エネルギー実用化の取り組みも、今回の大きなテーマになりました。 食品関連一般労働組合(食品一般ユニオン)は、乳製品の放射能汚染対策に万全を期すことを求めて株式会社「明治」に対し、団体交渉に応じるよう迫ってきましたが、「明治」は拒否したことを批判。放射能から子どもを守るために、10月20日に銀座デモを実施することを表明しました。 「原発ゼロ、再生可能エネルギーをいかす地域・自治体をつくるための提案」を発表した自治労連は、「自分の地域でも方針をもって、各方面に働きかけていきたい」と述べました。 愛媛の代表は、伊方原発の再稼働に反対する運動が広がり、差し止め裁判にも取り組んでいると報告。原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める請願が2つの自治体で採択されたことが紹介されました。 「都市農業の振興を運動に」という提案も出されました。東京では、農民連が農水省の検討委員会座長を務める後藤光蔵・武蔵大学教授を講師に学習会を開いたことを語り、「国の検討の状況を生かして、運動を強めたい」と述べました。 また、大阪の代表は、「豪雨で下水があふれる被害が出るなど、防災機能としての都市農業の役割が重要になっている。農のあるまちづくりを求める条例づくりを自治体に働きかけていきたい」と発言しました。
(新聞「農民」2012.10.8付)
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[2012年10月]
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