まだまだ生活再建の途中
「なんでも相談会」に悲痛な要望
宮城・石巻
農民連の仲間と横浜の保育園
具材持ち込み炊き出しも
宮城県災対連・東日本大震災共同支援センターは9月15日、宮城県石巻市鹿妻で、被災地支援の取り組み「第15回なんでも相談会」を行いました。
これまでの支援活動と違って、今回は住宅街の公園が会場でした。あたりを見渡すと、震災後に建てられた新築の住宅が多く見受けられます。
この地域は、2階の高さに届くほどの津波が押し寄せ、甚大な被害を受けたところで、いまも浸水被害にあった建物に住み続けている自宅避難者も多く、今なお十分な支援が届いていません。
農民連の仲間からは庄内産直センターが豚汁300食分の具材を持ち込み、今回も横浜市の保育園から園長、職員、園児の父母など9人も参加して一緒に炊き出しを行いました。
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残暑厳しい中、豚汁を盛り付ける庄内産直センターと横浜の保育園のみなさん |
地元の宮城県農民連はもち米を届け、矢本農民組合の三浦勝志組合長が持参した臼でもちつき。農民連京都産直センターからは米300キロが贈られ、ふるさとネットワークから持ち寄った米と合わせて配りました。奈良産直センターからは巨峰とシメジが届けられました。
開会の時間には人もまばらでしたが、宣伝カーで近所にひと回りし声を掛けると、あちこちからおじいさん、おばあさん、子ども連れのお母さんらが続々と集まってきました。この日は30度を超す残暑が厳しい一日で、熱い豚汁が好まれるか心配でしたが、「暑い日は家で料理してられないから」と好評でした。米など保存のきく食品も歓迎され、よく熟れたぶどうの実はとても甘く、大変喜ばれました。
近くに住んでいるという人に話を聞くと、「津波の悲惨な光景が頭から離れない。不眠で苦しんでいる」と、つらい現状を伺いました。また「若い人たちには、記憶を振り払うように家を建て直す人もいるが、かなり無理をしている」「高齢の人は生活再建の見通しがない」といった切実な状況を聞かされました。一方で「支援に来てくれた人に話を聞いてもらえると、ホッとする。私は被災のことを語り継ぎたい」とも語ってくれました。
大震災から一年半が過ぎましたが、被災地の方々は生活再建の途上にあり、要望も実情によってさまざまであることを実感しました。被災地支援行動は、引き続き求められていると痛感します。
(農民連ふるさとネットワーク 笠原尚)
(新聞「農民」2012.10.1付)
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