「農民」記事データベース20120924-1038-07

映画「モンサントの不自然な食べもの」

多国籍企業の
食糧・農業への支配暴く

関連/遺伝子組み換え作物の危険性語る


 巨大多国籍企業の食糧・農業への支配を暴く映画「モンサントの不自然な食べもの」が上映中です。

 “黒いうわさ”集め

 私たちに身近な食品、豆腐や納豆、ポテトチップスなどのラベルに必ずある「遺伝子組み換えでない」の表記。遺伝子組み換え(GM)作物市場の90%を支配するモンサント社はアメリカに本社を置く多国籍バイオ化学企業です。GM作物のほか、PCB、枯れ葉剤など安全上問題のある化学物質を次々と開発してきました。

 フランス人ジャーナリストでドキュメンタリー映像作家のマリー・モニク・ロバンさんは、この企業の“黒いうわさ”に関する情報をインターネットで集め、世界各地を3年かけて回り、証言を集め作品にしました。

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トークショーで語るマリー・モニク・ロバン監督=6月1日、渋谷・アップリンク

 在来種を駆逐して

 映画の中では、繰り返されるデータのねつ造、健康への悪影響を示す論文を発表した研究者への容赦ない弾圧など、世界の食糧支配のために手段を択ばないモンサント社の所業の数々を暴いていきます。

 インドの環境活動家、ヴァンダナ・シヴァさんは言います。「種を握れば食糧すべてを掌握できます。爆弾や軍隊よりもはるかに強力に世界を支配できるのです」。インドでは、綿農家が殺虫性の高額なGM種子を購入するために借金を重ね、返済できずに自殺する例が増えています。

 GM作物の栽培を禁止しているメキシコでさえも、アメリカ、カナダとの自由貿易協定(FTA)によりアメリカ産GMトウモロコシの輸入を阻止できず、市場で在来種を圧迫しつつあります。メキシコのトウモロコシ農家は「在来種がアメリカ産に駆逐されたら、企業に支配され、彼らの種と殺虫剤を買わされることになる」と危機感を募らせます。

 犯罪行為知って!

 本作品は、こうした現実をリアルに暴き出し、経済のグローバル化、TPPに反対すべきことを、私たちに教えてくれます。

 監督のマリー・モニク・ロバンさんは「日本は、産直を意味する“提携”発祥の地であり、これは世界に広がりつつある有機農家と消費者を結ぶ新しい流通のモデルになっています。そんな日本のみなさんに、この映画を通して、遺伝子組み換え作物の歴史とモンサントの犯罪行為を、ぜひ知ってもらいたいと思います」と話しています。

 ▼東京・渋谷のアップリンクで上映中。全国で順次、上映を予定。詳しくは、公式サイトをご覧ください。


遺伝子組み換え作物の危険性語る

食品分析センター八田所長招いて
上映館でトークショー

地球的視野に立ち地域で行動を

画像 映画「モンサントの不自然な食べもの」が上映されている東京・渋谷のアップリンクで、9月8日、農民連食品分析センターの八田純人所長を招いてトークショーがありました。映画館には100人ほどが詰め掛け、補助イスも出して超満員。鋭い質問も出され、熱気あふれるトークショーとなりました。

 八田さんはまず、遺伝子組み換え(GM)大豆とそうでない大豆の入った袋を会場にまわし、「見た目で区別ができたら、明日からわがセンターの職員になれます」と笑いを誘います。そして、簡単な検査方法でGM大豆かどうかを実演してみせました。そして、「私たちの食卓に出てくる大豆を原料としている食品のうち、7割は遺伝子組み換え大豆です」と話すと驚きの声が。「それは、大豆の自給率が6%しかなく、ほとんどをアメリカから輸入していて、アメリカの大豆の作付面積の8割がGM大豆だから。国産のものを作って自給率を高め、しっかり表示させることが大事です」と解き明かしました。

 八田さんは最後に、「いまTPPに参加するかどうか、大きな問題になっていますが、もし参加すればGM表示はなくなるでしょう。自分たちが食べたくないものにはノーの声をあげ、行動することが大事です。人間の心がかよった力が必要です。そうしなければモンサントのような多国籍企業や新自由主義に飲み込まれてしまいます。シンクグローバル・アクトローカル(地球的な視野で考え、地域で行動しよう)というもう一つの流れを強めましょう」と結びました。

(新聞「農民」2012.9.24付)
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2012年9月

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