「農民」記事データベース20120924-1038-02

国は違っても課題は共通だ

関連/集会と募金への協力のお礼

 国際的農民組織、ビア・カンペシーナの東南・東アジア地域青年国際会議が9月2日から4日まで、山形県南陽市で行われました。8カ国19人の海外代表も加えた参加者は、各国の農業情勢と各組織の取り組みを交流し、国は違っても共通する課題で討論しました。


ビア・カンペシーナの
東南・東アジア地域青年国際会議

 台湾の農村陣線は、農村青年の交流会にあたるサマー・キャンプを開き、全国から参加してセミナーや視察、ファーマーズ・マーケット体験などを開催しています。

 また、一般参加者も加わるワークショップでは、若者に農業を知ってもらおうと「かかしづくり」を農家と一緒に体験します。アート(芸術)と農業を組み合わせることで、一般の人にも農業への関心をもってもらう取り組みです。

 リーダー育成に熱心

 農村の青年リーダー育成に熱心なのがタイの貧困者連合(AOP)です。研修活動や青年キャンプを通じて、タイ農業の状況を学び、研修を終えて地域に戻り、さらに研修会を開いています。

 フィリピンの農民組織、パラゴスは、農業の未来を担う青年が有機農業実践の先頭にたとうと、有機肥料の作り方や生産の技術研修を実施しています。

 カンボジアの「農民と自然ネットワーク」(FNN)は、全国レベルで研修会を開いています。青年らが自費で参加し、学び、情報交換を行って、地域での実践に生かしています。こうした研修は、農民自らが自分たちのことを決めるという意識の醸成に役立っています。

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各国の農業情勢や取り組みを交流した国際会議

 運動の先頭に

 農家と一般消費者、学生との交流を通して、農業への理解を深めてもらい、後継者対策の一環と位置づけている取り組みもありました。

 インドネシアの農民組合(SPI)は、農村と都市部の青年がみんなで一緒に料理することで、食と農について考えてもらう取り組みを進めています。

 韓国の女性農民会(KWPA)は、都市部の若者や学生との交流に力を入れています。食糧主権について学び、学んだ人たちはFTA(自由貿易協定)阻止の集会に参加しています。女子学生はフェミニズム運動に興味を示し、連絡を継続し、運動にもかかわってもらう努力をしています。農業や環境に関心を示す学生も多く、そうした人々の交流の機会を増やそうと計画しています。

 地域で役割果たす

 自然災害とのたたかいや、農村に悪影響を与える大型開発に反対する運動に、青年が先頭にたち、大きな役割を発揮しています。

 フィリピンでは、外国資本と地主の農地収奪に反対し、農民の権利の確立、農地解放を求めるたたかいは、青年運動と切り離すことができません。農民連合(KMP)は、深刻な洪水被害に対する支援・復興活動にも力を発揮しています。

 タイの貧困者連合(AOP)は、ダム建設計画に反対するデモに積極的に参加し、ダムによって被害を受けた人々への補償を求める署名活動にも取り組んでいます。

 ベトナムの農民組合(VNFU)は、農村部の道路の補修や橋、家屋の建設を手伝うなど、地域に貢献。山間部の子どもたちに授業を行い、地域に寄り添う青年部の役割を果たしています。

 韓国の全国農民会総聯盟(KPL)は、ゴルフ場建設反対運動にも取り組み、集会、デモの先頭に立っています。子どもを農村に招待し、野菜を一緒に栽培して、食べものがどう作られているのかを体験しています。

 ビア・カンペシーナの組織がないオーストラリアでは、農民組織はみな自由貿易推進の立場で、農家も大規模化しています。「身近な農家と連携し、運動していけるよう変化をつくっていきたい」。オーストラリアの参加者の感想です。


集会と募金への協力のお礼

農民連青年部部長 杵塚 歩

 この度は、農民連青年部の夏の学習交流会と、ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域青年国際会議へ、募金をはじめご協力いただきありがとうございました。青年部としては、初めて海外代表を迎えての集会でしたが、滞りなく全日程を終わらせることができました。

 被災地の福島では、現地の視察と農家の方々との交流を通し、海外では聞くことのできない原発事故が引き起こした放射能汚染と農業への深刻な影響に、参加者の一人一人が大きな衝撃を受けていました。特に東南アジアの国々では、経済発展の名の下に、原発の建設が計画されている国があります。原発と農業、生命は共存できないということを、帰国してから仲間たちに伝え、原発建設に反対する運動に取り組みたいと、参加者たちは語っていました。

 今回の集会は海外の青年だけでなく、国内から参加した多くの青年にも大きな刺激の場となりました。山形県置賜(おきたま)青年部の活動から学んだこと、海外代表との交流で受けた刺激をそれぞれの地域に戻った青年たちが、新たな仲間を増やし、さらに青年部活動を盛り上げていくことが期待されます。

 集会の開催にご尽力、ご協力いただきましたみなさまに、心より感謝いたします。

(新聞「農民」2012.9.24付)
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2012年9月

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