農民連ふるさとネットワーク
東京
米屋さんと生産者をつなぐ交流会
生産者と米屋の絆さらに強く
安定した流通の再構築を
生産・流通
互いに生(なま)の
情報を交換
「テーブルを囲んで米屋さんとじっくり意見交換できて、有意義な交流会でした。北海道の米が注目されているのを肌で感じました」(北海道深川市の米農家、溝口公彦さん)――。農民連ふるさとネットワークが8月26日に東京・文京区民センターで開いた「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」には、米屋さん、米卸業者、生産者ら140人余が集い、かつてなく熱い交流を深めました。
震災を機に変化
ふるさとネット理事の鈴木弥弘さんが主催者あいさつ。「昨年の震災と原発事故は、米の流通に混乱をもたらしたが、生産者は『安全でおいしい米を届けよう』と努力している。日本人の主食を金もうけの道具にする米先物取引も破たんした。産地と米屋さんとが手を結び、安定した流通を再構築しよう」と呼びかけました。
来賓あいさつで、日本米穀小売商業組合連合会の長谷部喜通理事長は、「震災を契機に米の流通状況が変わってきた」と述べ、「米卸が米屋に回さなかったので、業務用にも使える一般の米が不足している。生産者は、付加価値のあるおいしい米とともに、業務用の米にも取り組んでほしい」と述べました。
また、主食用の輸入米(SBS米)が出回っていることにふれ、「国産米を食べてもらう運動を率先して進める必要がある。農民連と米屋との交流をさらに深め、強い絆にしてほしい」と期待を語りました。
卸業者を代表して、東京山手食糧販売協同組合の船木良雄常務理事があいさつしました。
福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任助教の石井秀樹さんが「放射能汚染から食と農の再生を」のテーマで講演しました。
全袋検査の状況
産地からの報告では、はじめに、福島・あだたら産直センターの本多芳司さんが、県の米全袋検査の状況を報告し、「科学的見地にたった正確な情報を提供し、安全な米を届けたい」と述べました。
その他、「早稲の最盛期で刈り取り真っ最中」など生育の順調さをアピールする産地や、「水不足、高温障害に悩まされている」など異常気象による困難さを語る産地もありました。さらに、「仲間を増やして農政に大きな力を発揮できるようがんばりたい」「独自の検査で万全を期したい」など意気高い報告もありました。
最後に、ふるさとネット理事の松本慎一さんが「米の生産と流通に混乱をもたらしている国の責任放棄を改めさせ、TPP参加を阻止し、日本の米を守ろう」と閉会あいさつをしました。
農家の苦労聞く
はじめて参加した高坂米店(東京都台東区)の高坂和延さんは、「産地の状況が聞けてよかった。生産者や同業者とも交流でき、扱ってみたい産地もいくつかありました。自由な交流や意見交換の時間がもっと長かったらよかったですね」と話していました。
赤松屋米店(東京都世田谷区)の上保文人さんは、「隣席だった農家は『朝、農作業を終えて、東京に来た』と言っていましたが、米作りをしている人の苦労を聞けて、生産者との距離が縮まった印象です。3・11以降、お客さんは『米がなくなったら』と不安を口にし、私たちも仕入れが不安です。いろんな情報を提供してもらってよかった。ずっと交流会を続けてほしい」と語っていました。
(新聞「農民」2012.9.10付)
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