核兵器廃絶と原発ゼロの
運動の共鳴を強く感じた
原水爆禁止世界大会に参加して
農民連事務局次長 吉川 利明
8月4日から6日まで、広島市で開かれた原水爆禁止世界大会に参加しました。
今回の印象は、青年の参加が多かったこと。そして、ヒロシマ・ナガサキの被爆者と福島の被災者との連帯・共感、核兵器廃絶と原発ゼロの運動の共鳴を強く感じました。また閉会総会には、新しく国連軍縮問題担当上級代表に就任したアンジェラ・ケインさんが、パン・ギムン国連事務総長の「核兵器廃絶という崇高な目標を達成する運動で、みなさんのパートナーであることを光栄に思う」とのメッセージを読み上げ、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国際社会において、日本の運動の重要性が強調されたことも印象深いことでした。
私の参加した第10分科会のシンポジウム「核兵器・原発、私たちの未来―原水爆禁止運動から、原発からの撤退、自然エネルギーを考える」では、420人の参加者のうち4分の1が10代から30代の青年で、福島原発事故を機に放射能や原発問題への関心が広がり、核兵器廃絶の問題へも関心を持ち始めていることが示されました。
このなかで、ドイツ反核法律家協会のピーター・ベッカーさんが、原発からの撤退に関するドイツ政府の措置について報告しました。驚いたことは、福島原発事故が起きたわずか3日後には、ドイツ政府は最も老朽化した原発の運転中止を命じ、3カ月後には連邦議会が老朽化した8基の原発の廃炉、遅くとも2022年までにすべての原発の廃炉を決めたことでした。日本政府の「収束」宣言、そして原発再稼動とは雲泥の差を感じました。また、原発ゼロを決めた背景には、国民的な脱原発運動、専門家の科学的根拠の提示、それを実現させる政治勢力の存在があったことを指摘。同時に、再生可能エネルギー法によって、2050年にはエネルギーの8割を再生可能エネルギーにするということです。
「放射能によって苦しむ人びと」をつくらないという願いをひとつに、核兵器廃絶・被爆者援護とともに、原発ゼロ、被災者支援、そして再生可能エネルギーへの転換に向けて深め合う分科会となりました。
(新聞「農民」2012.9.3付)
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