「農民」記事データベース20120827-1034-14

旬の味


 私の地域では、お盆は8月13日から始まる。盆棚を飾り、迎え火を焚(た)き、先祖の霊を迎える▼子どものころは、季節の花や野菜や果物といっしょに、ナスやきゅうりで馬を作り飾ったものだ。14日はお墓参り。15日の午後、送り火を焚く。両親がまだ存命だったころは、飾るのを手伝うだけだったが、2人とも亡くなった今は、教えられたとおりにお盆を過ごす。手を合わせ心を静めると、父母がほんとうに帰ってきているように思える▼地震や津波で大切な人を亡くした人たち。原発事故でわが家に帰れない人たち。お盆をどのように過ごしたのだろうか。心が痛む。大地は先祖代々守られてきたものだ。田畑を耕して自慢の農作物を作り、暮らしを成り立たせてきた。近所どうしの温かいつながりもあっただろう。すべてを断ち切られた悲しみに、かける言葉もない▼せめて思いを共有していきたい。茨城では、東海第二原発の廃炉を求める署名が23万筆を超えた。脱原発の運動の広がりに希望が見えてくる。

(澄)

(新聞「農民」2012.8.27付)
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2012年8月

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