ルール違反の備蓄米売却
農水省に
食糧部会委員が批判集中
関連/九州北部豪雨でお見舞い
7月31日、農水省の食糧・農業・農村政策審議会食糧部会が、2012年7月以降の「基本指針」を策定するため開かれました。しかし、農水省が6月に、備蓄米4万トンを食糧部会の審議も経ずに突然放出したことに各委員から批判が集中し、民主党政権の米政策の矛盾が浮き彫りになりました。
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報道によれば、備蓄米の放出について「事前に部会に諮らなかったのはルール無視だ」(冨士重夫・JA全中専務)、「放出前に食糧部会を開かなかったのは奇異に映る。米不足はずっと前からだ」(木村良・全国米穀販売事業共済協同組合理事長)などと批判の声が相次ぎました。これに対して農水省は、「放出は震災の被害と放射能汚染で隔離した分の代替で『例外』」と言い訳に終始しました。
経団連の代表からも、2年続けて備蓄米買い入れに失敗するなどの事態に「備蓄を何年かけて通常にするのか行程表を作るべきだ」などの批判の声があがり、農水省も「買い入れ方式の見直し」を言明せざるを得ませんでした。また「米の先物取引への影響を恐れて食糧部会に諮らなかったというなら本末転倒だ。先物は中止すべきだ」(冨士委員)など、この間の政府の米政策に厳しい批判の声が出されました。
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部会では、主食用米の昨年7月〜今年6月の需要実績を811万トンとし、前年実績を9万トン下回りましたが、需要見通し(805万トン)を6万トン上回りました。今年6月末の民間在庫は182万トンで昨年同期(181万トン)を1万トン上回るとしました。「在庫が増えているのになぜ米不足なのか?」。示された数値が信用できるのか疑問が残ります。
一方、今年7月から来年6月までの需要は798万トンとの見通しを示し、委員の了承を得ました。
農水省は米の消費拡大に具体策を示さず、12年産の生産目標も需要量を7万トン下回る793万トンと設定し、相変わらず過剰を前提に政策を進めていることも問題です。
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主食用米の需給は、数字の上では当初の見通しに対してわずかな変化にすぎませんが、この間、米不足から「業者間の取引価格が20%も急騰」するなどしました。2年前にはわずかな「過剰」から空前の米価暴落も経験しました。
ギリギリの需給指針と市場まかせの米政策が、わずかな過不足で米価の乱高下を招いているのは明らかです。ゆとりある需給計画と需給と価格の安定に国が責任を持つ米政策への転換は待ったなしの課題です。
(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
新婦人福岡県本部
みのう農民組合を訪問
農業被害を視察
8月1日、新日本婦人の会福岡県本部の副会長、下田多美子さんと井藤明美さんが九州北部豪雨のお見舞いと視察に、みのう農民組合の事務所を訪れました。
組合長の井上永太郎さんほか6人の農家と新婦人うきは支部代表の佐々木かよこさんが対応しました。
このなかで井上さんらは、大分の下郷農協に支援に行ったが2回目の豪雨がさらにひどかった話や、大豆畑トラストの大豆が冠水しまき直さなければならなかったこと、ぶどう畑が土砂で埋まり「とても個人では再生できないし、やる気も起こらない」とため息まじりに話しました。
果樹農家の石井良夫さんの畑に行くと、支柱は折れ、ごろごろと石が無数にころがっており、とても個人の力だけでは復旧できないことが一目でわかりました。
新婦人の下田さんは、「要望があればどうぞ言ってください。直接県に要請に行くし交渉もしますから」と話し、農家も「聞いてもらってよかった」と励まされていました。やはり常日ごろの産直で培った絆(きずな)は強く、ありがたいと感じた一日でした。
(福岡・みのう農民組合 金子徳子)
(新聞「農民」2012.8.27付)
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