「農民」記事データベース20120827-1034-02

「社会保障と税の一体改革法案」等の
強行成立に抗議する

2012年8月10日
農民運動全国連合会会長 白石 淳一


一、8月10日、民主、自民、公明などが「社会保障と税の一体改革法修正案」(消費税増税法案)と「社会保障推進基本法」などの関連法案を参議院本会議で強行可決した。農民連は、国民世論にそむき、選挙公約を投げ捨てた「法案」の強行に強く抗議する。

一、消費税増税は、販売価格に転嫁できない農業にとって最悪の農業破壊税である。また、「社会保障と税の一体改革法案」は、増税と社会保障の切り捨てによって国民に20兆円もの新たな負担を押し付け、暮らしと農業を脅かすだけでなく、経済と国の財政にも重大な影響をもたらすものである。これらの諸点は、国会審議を通しても浮きぼりになった。

一、消費税増税に反対する世論は6割に及び、今国会で採択することには7割が反対するに至り、「法案」は重大な困難に直面した。これに助け舟を出したのは自民党と公明党であった。

 衆議院段階での3党の密室“増税談合”による「修正合意」は、国民に消費税増税を押しつけるだけでなく、憲法25条に基づく福祉への国の責任の放棄、消費税増税を大型公共事業の財源にすることまで法案にもぐりこませるなど、最悪の法案となった。

 こうした悪法を許さない国民世論はさらに高まり、8月3日には、参議院での「法案」成立を阻止するために、日本共産党、社民党、みんなの党、国民の生活が第一、きづな、新党日本、新党改革の7党は、衆議院に内閣不信任案、参議院に問責決議案を共同提出することで合意し、参議院での法案採択のねらいを一時、阻止した。自民党の中からも「3党合意」の破棄や、解散・総選挙を求める動きが広がるなど、法案成立は危機的状況にまで追いつめられた。これに「近いうちに国民に信を問う」という空約束と引き換えに助け舟を出したのは自民、公明の両党であった。

一、民主党、自民党、公明党の増税連合の暴挙を後押ししたのは財界であった。8月8日の記者会見で経団連の米倉弘昌会長は、消費税増税の「3党合意」に従って「粛々と進めてほしい」と述べ、内閣不信任案の提出姿勢を示していた自民党と、採決先延ばしを企図した野田内閣に圧力をかけた。この財界の圧力に屈した3党が、密室談合を行ったものである。

 毎週金曜日に官邸前を埋め尽くす市民の行動でも示されるように、国民生活よりも企業の利益を優先する社会からの転換を求める世論が空前の規模に燃え広がっている。いまの国会審議をめぐる状況は、こうした国民世論と大きくかけ離れた勢力が国会の多数を占めていることを改めて示しており、その是正は焦眉の課題である。

一、たたかいはこれからである。消費税増税は2014年4月からである。その間に、衆議院選挙、参議院選挙がたたかわれることは確実である。このたたかいで、増税を推進した諸党に痛打を浴びせて少数派に追い込むなら、消費税増税の実施を阻止することは可能である。

 農民連は、引き続き「消費税増税反対」の一点での共同を草の根から広げるとともに、解散・総選挙の早期実施を要求してたたかうものである。また、TPP参加反対、原発再稼働阻止、原発ゼロ、オスプレイの配備反対など、野田内閣の悪政とのたたかいに全力をあげるものである。

(新聞「農民」2012.8.27付)
ライン

2012年8月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2012, 農民運動全国連合会