「農民」記事データベース20120730-1031-03

三陸沿岸漁業の復興を

国の援助拡充、底引き網漁・巻網漁の規制を


岩手県漁民組合
初の農水省交渉

 今年1月に結成された岩手県漁民組合(蔵徳平組合長、岩手県農民連に加盟)の組合員7人は7月12日、上京して、漁民組合として初めて農水省本省と交渉し、三陸沿岸漁業の復興について申し入れを行いました。農民連の笹渡義夫事務局長、岩手県農民連の岡田現三事務局長も参加し、日本共産党の紙智子参院議員が同席しました。

 参加者は、震災で大きな被害を受けた漁業者に対して、遅れている漁船建造対策、漁具・倉庫・漁業資材の確保に国の援助を拡充するよう求めました。

 また、幼魚を乱獲し、サケまでも混獲する底引き網漁、巻き網漁が、沿岸漁場を破壊し、水産資源を根絶やしにする危険があることを指摘。サケの回帰率が減り続ける現状や底引き漁船が漁具を海洋に投棄している実態も示し、「水産庁は、実態を調査し、公表すべきだ。底引き網漁と巻き網漁については、水深250メートルより浅い海での操業を禁止し、資源を乱獲する2隻引きの操業をやめさせよ。サケ資源の公平配分と回帰率の向上を図れ」と迫りました。

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農水省に要請する蔵組合長(左から2人目)ら岩手県漁民組合のみなさん

 水産庁は、「各県の漁については、県の漁業調整規則に定められており、県で決めること。要望内容については県に伝える」と述べました。

 参加者は、「県に要請しても動こうとしない。国が県を指導すべきだ。県に伝えた結果を、私たちにも返してほしい」と要望しました。

 最後に、蔵組合長は「日本の水産資源を守り、後継者が育つような対策をとってほしい」と訴えました。

 交渉では岩手県の漁業について損害賠償がほとんど行われていないことも明らかになりました。要請参加者の中にもマダラを出荷できなくなった組合員もいたことから、交渉後に「漁民組合で東電に賠償請求していこう」と話がまとまりました。

 また、参加者からは「巻き網によってサケが混獲され、『雑魚』という名目で売られている。浜では常識になっているのに、水産庁が実態をつかんでいないのに驚いた」との声が相次ぎました。

 放射能による影響を聞き取り
  政府各省から

 参加者は、参院議員会館に場所を移し、厚生労働、経済産業、文部科学などの各省から、福島原発事故や日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)から放出された放射性物質が大気、海洋を通じて三陸沿岸漁業、水産業に与える影響について聞き取りを行いました。

 そして、放射能被害による漁業・水産業への対策を求めました。

(新聞「農民」2012.7.30付)
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2012年7月

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