「農民」記事データベース20120723-1030-02

大分・洪水被害

懸命の復旧作業続く下郷農協

農民連本部の笹渡事務局長ら
組合長激励、見舞金渡す

関連/洪水被害復興募金にご協力を


画像 7月3日に大分県北部を襲った記録的豪雨で、中津市耶馬渓町の下郷農協が甚大な被害を受け、懸命の復旧作業が続いています。農民連本部からは7日、笹渡義夫事務局長をはじめ2人が駆け付け、矢〓和廣組合長(写真、右側)に見舞金を手渡し、激励しました。

 復旧作業には、福岡県農民連、ふるさとネット、日販連(日本販売農協連合会)、大分県内のJAグループ、日販連加盟の農協などから6日までにのべ100人以上のボランティアがかけつけ、被災した施設の泥の掃き出しや洗浄に汗を流しました。これによっていったんは納豆・鶏肉以外の全品目が出荷できるようになり、通常業務も再開しつつありました。しかし、そんな矢先の13、14の両日に再び豪雨に見舞われ、さらに大きな被害に襲われています。

 1回目の豪雨で、氾濫した山国川沿いに建っていた鶏肉処理施設が土台を残してすべて流され、作業していた委託職員1人が行方不明となったのをはじめ、本所、購買店舗、農産工場、複数の倉庫、ATM(自動預け払い機)、10台以上の農協所有の車両、在庫品や販売資材などが水没。

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土台を残してすべて流された鶏肉処理場の跡地(7月7日)

 2回目の豪雨では、シャッターや塀も水圧で押し倒され、中の物が流される被害になっています。被害額も1回目だけでも数千万円にのぼるとみられ、精神的にも大きな衝撃と疲労感を受けています。

 地域全体でも大きな被害が出ています。山国川沿いでは、多くの住宅や建物が床上浸水しました。また水田も土砂をかぶり、土砂被害をまぬがれた水田も、農業用水の取水口や水路がズタズタに破壊されて給水できず、収穫できない水田が半分近くに及ぶことが懸念されています。下郷農協の松本聡雄参事は、「農業用水や集落を結ぶ道路の土砂崩れなどの被害の全容はまだわかっていません。下郷農協も、地域の農業も、これから日を追うごとに被害がはっきりしてくると思うと、心配で頭がいっぱいです」と言います。

 下郷農協は広域合併の押し付けをはね返し、現在も経営再建にむけ奮闘中です。耶馬溪町における下郷農協の役割は、農業生産を守るだけでなく、地域の暮らし全般を支える役割を担っています。耶馬溪町唯一のスーパーといえる購買店舗のほか、診療所(ほかに町内の開業医は1つのみ)、高齢者デイケアセンターを運営し、多くの組合員が農協の共済や融資を利用して暮らしています。また雇用先としても大きな役割を果たしており、数多くの若い職員が働いています。

 「下郷農協を築いてきた私たちの大先輩は、まだ産直という言葉も知られていなかった時代から、安全なものを消費者に届け、地域の農業を発展させてきました。豪雨被害は深刻ですが、なんとしても復旧・復興し、耶馬溪の農業と暮らしを守っていきたい」――組合長の矢〓さんは、復興への固い決意をこう話しています。

〓は崎の異体字。大が立。


洪水被害復興募金にご協力を

 下郷農協は農民連加盟のJAであり、また組合長は日販連の会長を務めています。下郷農協の再建をめざし、「洪水被害復興募金」にぜひご協力ください。

 ▼激励先 〒871‐0431 大分県中津市耶馬溪町大字大島215‐4 下郷農業協同組合 TEL 0979(56)2222 FAX 0979(56)3117
 ▼募金振込先 みずほ銀行 新宿新都心支店 普通預金 口座番号 1633741 口座名義 日本販売農業協同組合連合会

(新聞「農民」2012.7.23付)
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2012年7月

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