農民連ふるさとネットワーク
石田さん 米づくり奮闘記(2)
ハウスでの育苗づくりは
温度や換気に注意して…
育苗には「プール育苗」をする人もいます。これは、ハウス内にビニールシート、またはポリフィルムを用いて簡易水槽(プール)を作り、湛水状態で育苗をおこない、田植えまで育てる方法です。
大林博さんは、育苗箱に種籾(たねもみ)をまき終わると、次は育苗器に入れ、温度を30〜32度で3日間保ちます。種籾を1、2センチ出させ、その後ビニールハウスに移して育てます。田植えまでに苗を丈夫に育て、自然に慣らす期間です。一棟のビニールハウスに、平均400〜450枚並べます。
ビニールハウスに行ってみると、ハウスの入り口は大きく開け放たれており、側面には帯状に外気取り入れ口があります。ハウス内の温度計は40度です。急いで水まきをします。直射日光の下で温度が40度以上になると、苗がヤケて(葉先が茶色状に)しまうので室内温度や換気には注意します。また「30度だと苗の背が伸び過ぎて細くなるので、25度が理想だと思う。適温は15〜25度というところかな」と大林さんは話します。「ハウス内にある苗は、いつごろのものですか」と聞くと、「4月1日に育苗器から出したコシヒカリ」とのことでした。
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ハウス内の苗床に水まき |
種籾をまく作業の最中に、畦(あぜ)塗り機を借りに来た農家がいました。畦塗り機は水漏れを防ぎ、畦を縁取りする機械です。畦塗りの作業も見たかったのですが、大林さんの田んぼはすでに終わっていました。
農作業は機械化されていても、季節の移り変わり、そして天気、昼夜の温度に左右されます。大林さんは「最近、ハクビシンがブドウの香りに誘われて、ハウスに穴を開ける被害が多い」と話します。鳥獣被害の一端を垣間見る思いです。自然との共生を維持する難しさを感じます。
(つづく)
(新聞「農民」2012.7.16付)
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