農民連ふるさとネットワーク
石田さん 米づくり奮闘記(1)
一年通じて米作り体験
まずは種まき作業から
農民連ふるさとネットワーク事務局は、「米の流通を扱う者として、種籾(たねもみ)の湯選から稲刈り袋積めまでポイントごとに米づくりを体験してこそ、農家の心を伝えられるのではないか」と議論。これを受けて、石田重信さんが1年を通じて米づくりに挑戦することになりました。順次、「米づくり奮闘記」をリポートします。
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協力をしてくれる農家は、茨城県南農民組合の大林博さんです。大林さんは、田植え・稲刈り体験ツアーを数多く受け入れています。ここは、数年前に、全国の米を食べ歩き、お米を仕入れている沖縄の米屋さんが、たまたま稲刈り体験ツアーの昼食会に合流し、「この米なら新潟に負けない」と米の取引が始まった優良地です。
初日となった4月5日は、育苗箱に種籾をまく作業をしました。本当は、種籾の温湯消毒から体験したかったのですが、温湯消毒は3月末には終わっていました。今では自宅ですることはなく、育苗センター等に依頼するか、農産センターから苗を買うそうです。
まく種籾は、3日間水漬けして発芽の状態にします。そうすると、胚芽(はいが)部分がちょうど“鳩”の胸のように盛り上がった形状になります。種籾は積算温度が100度で発芽しますが、品種によっては日数や水漬け温度も変わります。
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大林さん(左)と石田さん |
この日の種籾は、「まんげつもち」です。育苗箱に下土を1・5センチ敷き、抗酸化剤パウダーを水に溶かして散布します。その下土のうえに種籾100グラムをまき、上土1センチをかけていきます。大林さんは「種籾80グラムでやる人もいるが、経験上、欠株(植え損ね)が少ないのが100グラムで、上土を多めにして種籾の蛸(たこ)足(根が上土から露出し種籾を持ち上げてしまっている状況)を防ぐようにしている」と説明してくれました。
また通常、育苗箱に敷く土は殺菌された土を使用しますが、大林さんは種籾が順調に育つよう、念を入れて「陶盤浴」の抗酸化剤パウダーを水に溶かして使っています。「これも自分の経験上のこと」と笑います。
(つづく)
(新聞「農民」2012.7.2付)
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