この人
アジア太平洋資料センター(PARCパルク)事務局長
内田 聖子(しょうこさん)
TPP反対共同は歴史的集まり
内田聖子さんは、4月25日の「STOP TPP! 1万人キャンドル集会」を成功させた主催者団体のひとつ、農民連、食健連も加入する「STOP TPP!! 市民アクション」(6月6日現在、37団体が加入し、2団体が協賛)のなかで中心になって活躍しています。
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PARCは1973年に、小田実さんや北沢洋子さんらによって設立されたNGO団体で、南と北の人々が対等・平等に生きることができる社会をつくることをめざしています。私がPARCの活動で感激したのは、「自分が変われば世界を変えることができる」という理念を知ったことです。
PARCは、WTO(世界貿易機関)がアジアの人々にどう影響を及ぼすのかという問題にも積極的に取り組んできました。WTOの閣僚会合が開かれたアメリカのシアトルやメキシコのカンクン、香港にもPARCのメンバーが行きました。だから、農民連や食健連の人たちの近くにいたわけです。ニュージーランド・オークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんとは、ニュージーランドで規制緩和や民営化が進められたころからつながりがあって、こういう国際的なネットワークも私たちの強みだと思っています。
PARCにとって、TPPは絶対取り上げていかなければならない課題でした。当時、菅首相が言い出した時から、「TPPに反対する人々の運動」というネットワークに参加して、集会を開いたり、わかりやすいパンフレットを作ったり、農業だけの問題ではないことを発信して運動を進めてきました。そういうなかで、「本当にTPP参加を止められるのか」という危機感があって、「より広い陣形を作っていくことがどうしても必要だ」という議論になり、TPPに反対している団体に声をかけたわけです。それがいま「市民アクション」となって集会や街頭宣伝、ケルシーさんの講演と、活動が継続的に広がっていることを本当にうれしく思います。
他の団体をあげつらうのではなく、これだけの団体がTPP反対の一点で連携できたことは、本当にすごいことですし、これからも大切にしていきたいと思っています。まさに“歴史的なあつまり”ですよね。
これからは、TPPという経済連携に代わって、どういう貿易のありかたが求められるのか、政策的な課題も議論していけたらいいなと思っています。
それから、今は東京中心の活動ですが、これからは地方からも、たとえば隣のおじさん、おばさんと「TPPって知ってる?」なんて話ができるような、そんな発信もしていきたい。
(新聞「農民」2012.6.25付)
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