元オリンピック選手が農の世界へ
福岡・筑前町 池松 和彦さん
(レスリング・フリースタイル)
農のスペシャリストに弟子入り
“今は農作業も搾乳も新鮮”
酪農業を営む両親とともに
この春、一人の青年が農業を始めました。昨年12月に行われた全日本レスリング選手権大会(フリースタイル66キロ級)決勝で、世界選手権準優勝の米満達弘選手に敗れ、3大会連続のオリンピック出場はならず引退を表明。その後、実家(福岡県筑前町)で酪農業を営む両親といっしょに農業を始めた池松和彦さん(32)です。
池松さんは5月24日、今は亡き柳康介さん(前農民連福岡県連書記長)から要請を受け、22年前から新婦人産直の野菜ボックスを福岡の先駆者として開拓し続けた久留米市に住む田中保明さん(85)を訪問しました。
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がっちり握手する田中さん(左)と池松さん |
池松さんは、今年4月にふるさとに帰ると、すぐに地元の消防団に加入。今は毎日が、農作業も搾乳も新鮮だそうです。
「今日は苗箱を800個作りました」と少々疲れ気味ですが、田中さんは「これから畜産も含めて大変な時代が来る。悪くなるときは全部が悪くなる」と、TPP参加への危機感を経験の中から話し、技術的なことよりもちゃんと若者が生活していける国づくりが必要だと諭します。また「原発はイカンよ。廃止しかない」とも。話が弾むなか、池松さんの2人の子どもは遊びまわり、妻の由紀さんも農業への関心は高く、田中さんの話に聞き入っていました。
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“まだまだこれから”と乳牛にエサを与える池松さん |
レスリングという世界から農業の世界に進んだ池松さん。そして、農のスペシャリストの田中さん。熱い師弟関係が生まれた交流となり、2人はしっかりと硬い握手をしました。
(福岡・みのう農民組合 佐々木督文)
(新聞「農民」2012.6.25付)
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