主役は飾り牛
保存会会長は農民連会員
白砂(しらまさ) 半次郎さん(80)
飾り牛保存会の会長は、農民連会員の白砂半次郎さん(80)です。白砂さんに「花田植」への思いを聞きました。
民族農耕の誇りをもって
若い世代への継承こそ生きがい
飾り牛とともに40年をくらして
私は、水稲50アールと数頭の繁殖和牛を飼育している専業農家です。飾り牛に関心を寄せ始めて40年になり、牛とともに暮らしてきました。
毎年、田植えシーズンの5月上旬から6月にかけて、県内外のあちこちで行われる昔ながらの「花田植」に参加協賛してきました。今年は、昨年11月に「壬生の花田植」がユネスコの無形文化遺産に登録されてからはじめての「花田植」とあって、緊張と誇りに満ちた年になりました。「花田植」にみられるかけがえのない価値観と、欠かすことのできない民族農耕の持つ歴史性や社会性に重大さを感じています。
そして、若い世代への継承こそ、私たち保存会に与えられた重責であることを肝に銘じ、かわいい牛たちにもこのことを語りかけていこうと思っています。
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「今日はよくがんばったな」と牛をねぎらう白砂さん |
飼育していればかわいいものよ
当日は、出演者も緊張の連続でしたが、みんな一生懸命でした。牛が前に進めないほどのカメラマンでしたが、なんのハプニングもなく無事に終えたことに感激しています。前日には、田んぼの中を歩かせました。時には、花火の大きな音に驚いてひっくり返る牛もあり、どんなことにも驚かないように優しく声をかけるなど訓練が必要です。牛と人間が一体となって、初めてよい「花田植」ができるものと思っています。
行事が終わって帰宅し、「今日はよくがんばったな」とエサを与えながら首からのどをなで、ほめてやりました。ものを言わないだけ難しいのですが、人間の言うことはよくわかるようです。飼育していればかわいいものです。
(新聞「農民」2012.6.25付)
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