築地市場移転
不公正な土壌調査方法
汚染状況報告書が不備
東中労 環境、農水両省交渉で明らかに
東京都が2014年の開場をめざして、強引に推し進めている築地市場の、豊洲・東京ガス跡地への移転問題。豊洲の候補地は、有毒物質のベンゼン、シアンが環境基準を大幅に超えるなど汚染の“宝庫”といえる場所です。全労連・全国一般東京地本(室井清委員長)と同東京中央市場労働組合(東中労、羽根川信委員長)はこの間、環境、農水両省と交渉を行い、汚染の実態を明るみに出し、都民合意で計画を再考するよう求めてきました。
東中労調べでわかる
問題にした点の1つは、都が豊洲予定地で行った土壌汚染調査が「公正に、かつ環境省令で定める方法により行われた」ものではないことです。
環境省の「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン暫定版(2010年7月)」によれば、その調査方法は「複数地点でボーリング調査を行った場合(掘るのを10メートル以内に抑える場合のみ)は、難透水性の地層の厚さが50センチメートル以上(の掘削が必要)であること」となっています。
しかし、東中労の調べで、都が行った調査の少なくとも278カ所で「難透水性の地層の厚さが50センチメートル」に満たないことがわかりました。
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土壌調査の問題点を告発する全労連・全国一般と東中労のみなさん=5月25日、農水省 |
問題点の2つめは、都の指定調査機関「応用地質株式会社」の「土壌汚染状況調査報告書」に不備があることです。
「報告書」の中には「豊洲新市場予定地における噴砂について」という項目があり、同項目の日付が「平成23年(2011年)7月14日更新」となっています。
しかし、「報告書」が提出されたのは2011年3月25日。なぜ3月25日に提出されたものに、7月14日付の項目があるのか。
都と「応用地質」とが示し合わせて、「報告書」に、後から何らかの手を加えた(偽装工作)のではないかと疑われても仕方がありません。
また、土壌汚染対策法にもとづき、指定調査機関が行うべき調査の一部を都が設けた技術会議の委員が行っていることも大問題です。
注視だけではダメ
これらの問題に対して、環境、農水両省は「注視していく」と答弁しています。東中労の羽根川委員長は「現に移転工事は進められており、『注視』していくだけではだめだ。両省が協力しながら、都を指導し、問題解決を図ってほしい」と訴えました。
豊洲・新市場予定地の汚染問題は、何一つ解決していません。ただちに欠陥のある豊洲での土壌汚染対策工事を中止し、都民合意を基本に現在地の再整備を進めるべきです。
(新聞「農民」2012.6.25付)
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