「人・農地プラン」作成の実態は
京都農民連の安田政教さん
(全国食健連総会での報告)
TPP参加を前提とした「農業構造改革」=「人・農地プラン(地域農業マスタープラン)」を作る動きが各地で広がっています。食健連総会(5月27日)で京都農民連の安田政教さんが現場の実態を報告しました。その一部を紹介します。
地域再生とかかわりなく
行政主導で担い手を選定
集落に相談せず
いま現場では、国による「人・農地プラン」が推し進められ、京都では「京力農場プラン」と銘打って、各地域で説明会が開かれ、誰を担い手にするかという具体的な人選作業が進められています。
私の集落は50ヘクタールの水田(実際には転作のため35ヘクタール)があり、20年前から農作業受託組合をつくって、ほぼ3分の2の水田を、私も含めて14人で作業を請け負っています。このような地域で国の方針どおり「人・農地プラン」を進めようとすると、1人か2人の農家ですべての水田を耕作することになり、農道や水路の管理などを考えると不可能です。
本来は集落で相談をして、誰を担い手にするのかを決めるのが当然です。しかしそういう時間もないということで、行政が担い手農家を選定し、その人の了解を得るという行政主導で進められています。国の制度に乗るために、その体裁だけを整えるという方向で進められているのです。
大きな分岐点に
なかでも一番問題だと思うのは、集落や地域をどういう方向で再生していくのかという肝心の問題を横において進められ、行政の目にかなう人にしか伝えられていないことです。これでは「担い手をつくる」と言いながら、多様な担い手を切り捨てることにしかなりません。
こうした国の「農業構造改革」に対抗して、私たち農民連・食健連は、農業を軸にした地域の再生を進めようと、学習を深めています。再生可能エネルギーの活用も視野に入れた地域再生の取り組みを地域で実行できるかどうかということも、今後の大きな分岐点になっていくと思います。地域を再生していこうという運動とも共同して、取り組みを進めていきたいと思います。
(新聞「農民」2012.6.25付)
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