「農民」記事データベース20120625-1026-01

新たな“安全神話”の復活
手綱をゆるめずにさらに全力

大飯原発の再稼働
断じて許せない!

福井県農民連・おおい町議 猿橋 巧さん

関連/福島原発事故 何一つ解決されていない


画像 大飯原発の「再稼働」にあたっては、5月14日に町議会で「了解」され、6月14日には町長と県知事の「容認判断」がなされ、野田首相は17日、「再稼働」を決定しました。

 しかし、これらの判断基準は、暫定的な基準で「安定性」を示したにすぎません。しかも、事故が起った際の対応拠点となる「免震事務棟」の建設や「フィルター付ベント」の設置は3年後に、また津波に耐える防波堤のかさ上げは来年完成の予定です。こんな現状で、地元の経済・雇用・財政といった理由で「再稼働」を認めることは、崩壊したはずの「安全神話」を復活させるものです。

 私は町議会で、唯一反対を貫きましたが、町民をはじめ全国から励ましの声や署名が多数寄せられています。原発ゼロを求める運動は全国に広がり、確実に電力会社と「原子力ムラ」の推進勢力を追いつめています。

 「原発はもうだめだ」と言わせるまで、手綱を緩めることなく、さらに全力をあげていきましょう。


福島原発事故
何一つ解決されていない

福島県農民連会長
亀田 俊英さん

 福島県農民連は6月7日、“福島の声”を届けようと、関西電力の八木誠社長と大阪市の橋下徹市長に対して、大飯原発を再稼働しないよう強く要請しました。

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大阪市長あての要請書を読みあげる県連事務局長の根本敬さん

 ところが野田首相は8日、大飯原発の再稼働に向けて、「国民の生活を守るために」と記者会見で述べました。この言葉は怒りを通り越し、一国の首相の発言として断じて許せません。16万人を超える福島県民が家に帰れる見通しもないなかで生活している実態を、国民と世界に何と説明するのでしょうか。

 20キロ警戒区域が解除されて、日常の生活に戻ったのではないかとでも思っているのでしょうか。しかし実際はまったく違います。

 震災から1年2カ月後の5月に、南相馬市小高区にあるわが家にようやく帰れるようになりました。しかし、雨漏りはありませんでしたが床はぶかぶかです。水道は止まったままでトイレも使えません。電気が止まっているところも多くあります。ゴミも自宅以外には出せず、ゴミ袋が玄関にあふれています。

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関西電力本社前で「原発いらない!」のプラカードを掲げる福島、石川、大阪の農民連

 農家の命である田畑は草だらけで、元に戻すのは大変なことです。そこに放射能汚染です。住宅こそ避難解除準備区域ですが、田畑は居住制限区域内にあります。国は除染をすると言いますが、安全・安心な農産物が生産できるフクシマを取り戻すことは容易なことではありません。

 技術が確立していない原発は、農業と絶対共存できません。福島原発事故を何一つ解決しないなかでの再稼働は、絶対許せません。

(新聞「農民」2012.6.25付)
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2012年6月

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